【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事を通じて、かなえたい夢】
姉から学んだ姿
あすなろ会  井 上 梨 紗  23歳

私の姉は看護師として働いている。人の命を仕事にしていることや夜勤があることなど、とても大変な仕事だということは知っていたが、姉が実際働いている姿を見たことがなかったためどれほど大変だかまでは分かっていなかった。それが分かったのは、私が入院した時と祖母が亡くなった時である。

去年私は胃腸炎で一週間入院した。初めての入院は不安と早く帰りたい気持ちでいっぱいだった。そんな中姉は毎日仕事後30分でも面会に来てくれ、血圧や熱のチェック、点滴をしてお風呂に入れない私の髪の毛を洗ってくれたりと、少しでも不安を取り除けるように看病してくれた。また入院中、夜中でも患者さんの状態を確認したり、何かあればすぐに駆けつけている看護師さんの姿を見て、姉も毎日このようなことをしているのかと思うとこの時初めて看護師という仕事の大変さを身にしみて感じた。

祖母は今年病気で亡くなった。亡くなるまでの数ヶ月は病院と介護施設、自宅を行ったり来たりの生活で目まぐるしい毎日だった。私たち家族は祖母の急な体調の悪化に気持ちが追い付いていない状況であったが、姉は自分は知識があるから話しやすいと率先してケアマネージャーや医者と連絡を取り合ったり、祖母が自宅にいる時は食事や排せつ、薬の管理まで全ての介護を嫌な顔をせずやっていた。どんなに忙しくても姉は「もちろん大変だけど、自分の仕事に誇りを持っているから。自分の知識で家族を助けられるなら何でもやる。」といつも笑顔だった。

姉の言葉を聞いてから私も自分の仕事に誇りを持とう、誰かの役に立てる人になろうと思うようになった。私は地域の金融機関で働いている。地域のということもあり、お客様はお年寄りが多い。祖母のことがあってからお客様の話は今まで以上に親身になって聞くようになっていた。お客様が笑顔で帰られると、祖母まで笑っているように感じられるからだ。2年目の私はまだ姉ほどの誇りを持てないが、少しずつ環境や仕事に慣れ、大きな仕事も任されるようになり、仕事の楽しさも感じられるようになってきた。

一番身近な存在が尊敬できる人であるということに感謝しながら、職種は違えどこれからも姉の背中を見ながら成長していきたいと思う。

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