【 佳   作 】

【テーマ:現場からのチャレンジと提言】
多様化する働き方からみえる自分の可能性
神奈川県  磯 野 和 美  25歳

「一般職として働く」ということ。

この選択をしたことが、果たして私にぴったりの働き方だったのだろうかとずっと疑問だった。


Webライターとして働く私は、一般職採用として今の会社に入社した。バリバリ働いて認められたいという思いが強く、どちらかというと仕事へのモチベーションは総合職よりだ。ただ同時に、プライベートな時間も大切にしたいという気持ちがある。好きなテレビを見ながら家でご飯を作り、休日は友人とショッピング。

働き方はどうあれ、世の中には仕事とプライベートの両方を充実させている人はたくさんいる。ただ不器用な私には、総合職として働きながらプライベートな時間も楽しむ自信がなかった。だから、一般職として好きな仕事ができる今の環境を選んだ。


私にとってライターという職は、天職にしたいと思えるほど大好きな仕事だ。私が書いた記事が誰かの心を動かし、思いが伝わる。口下手な私でも、誰かの何かしらの原動力になれていると思うと、やりがいとやる気が湧いてくる。もっと多くの人に自分の記事を届けたい、様々な記事を書きたい。そんな思いが日に日に強くなっていった。


でも、私は一般職という立場にあることと自分の思いとの狭間で葛藤することになる。

「一般職はあくまでも総合職の補佐的な役割を果たし、与えられた仕事だけをすればいい。」

一般職に対して勝手な固定概念を持っていた私は、自分が意見すること、挑戦することをずっとためらい続けていたのだ。


そんな葛藤の日々の中で、ある時上司に仕事の不満をもらした際、こんなことを言われた。

「待っていてもチャンスは訪れない。やりたいことがあるなら自分でつかみにこい。」

私はそこで大切なことに気づかされた。挑戦しようとしなかったのは、私自身の問題だったと。一般職であることを理由に、一歩を踏み出せなかっただけなんだと。


次の日から、私の仕事への向き合い方が変わった。

営業の訪問に一緒に連れって行ってもらえるよう交渉した。自分の思いを先方に伝えるためにはじめて資料作成をし、先輩から赤字の添削をたくさんもらった。自分の成長を感じられて、私には幸せな時間だった。


はじめての訪問で声を震わせながら資料説明したときは、もっとうまくしゃべれたらと何度も思った。口下手な自分にがっかりした。しかし、訪問先の方は親身に私の話に耳を傾け、資料を褒めてくれた。その時私は、大きなやりがいと達成感を得た。


今や働き方が多様化し、一人ひとりが自分に合った働き方を選択できる時代。ただし、漠然と私のように、自分の立場上意見しずらいと感じている方は少なからずいるはずだ。

「アルバイトだから、派遣社員だから、一般職だから。」

働き方や今の立場を理由に、自分の可能性を自分で狭めてしまっているのではないだろうか。

生意気だと言われても、自分よがりだと言われても、私はそれでいいのではと思う。自分から発信しないままでは何も変わらない。仕事もプライベートももっとわがままになってみたらどうだろうか。失敗することがあっても、何もしない人よりも数倍も価値のあるものを得られるはずだ。

私は、自分のやりたい仕事に貪欲に、そしてプライベートを今以上に充実させられるような人生を、自分の力で作ってみようと思う。自分の可能性を開けるかは自分次第だと思うから。

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