【 佳   作 】

【テーマ:仕事を通じて、かなえたい夢】
私の夢
宮城県  中 島 彩 葉  20歳

私の仕事を通じて叶えたい夢は、「人を笑顔にする」ということだ。私は、高校3年生の2月から今現在も同じところでアルバイトをしている。お店は飲食店で自営業だ。自営業ということもあり従業員は少ない。一人でホールを任される日も多い。そんな時に限ってお店は混む。料理を運んでいても容赦無く、「すみませーん」と飛んでくる声。そのお客さんの対応が終われば、また料理を運ぶ。店長からもキッチンの仕事を手伝えと言われる。レジにも呼ばれる。箸を落としたと言われる。ついつい落とすなよ!と言ってしまいそうになる。その言葉は飲み込んで、精一杯の笑顔で新しい箸を渡す。いつも優しい常連のお客さんから、マナーの悪い常連のお客さんまで、お客さんは様々だ。どんなに優しくされようが、どんな理不尽なことを言われようが「お客さん」ということは変わらない。分け隔てなく接客しなければ、私のせいでお店の評判が落ちる。そんなことにはなりたくない。私の負けず嫌いの性格が出るのだ。全部正確にこなし、なおかつ笑顔でやり遂げたい。

しかし、どんなに頑張っても1時間働いてもらえるお金は820円。もっと時給のいいバイトはたくさんある。ここに費やすよりも効率がいいはずだ。

それでも私がこのお店で働き続ける理由は、私を認めてくれる人がいるからだ。どんなに忙しくても一人で頑張っていて、ひと段落すると常連のお客さんから「忙しかったね、頑張ってたから1杯飲んでいいぞ(笑)」と冗談交じりの労いの言葉をもらう。私は今まで忙しさで荒んでいた心が一気に和むのだ。また、その言葉で自分自身が笑顔になることができる。そして言葉をかけてくれたお客さんも笑顔になる。

笑顔というのは伝染するものだ。それに私は喜びとこの仕事のやりがいを感じる。単純な性格だなとも思うが、私を見てくれている人がいるということ、そして頑張っていることを知ってくれている人がいるということが何よりも嬉しい。また店長からも、とても忙しかった日の終わりに、「メンタル強いね。彩葉ちゃんの今までの経験がそうさせてくれてるんだね。きっといい女性になるよ」と言われた時、涙が出そうなほど嬉しかったのを覚えている。そのあとも店長とお互い笑顔になり、疲れていたはずなのにその疲れはどこかに飛んで行ってしまった。

どんなことでもきっと自分を見てくれている人がいる。それは働く上で大きな励みになることだ。私は自分がやって来たことは必ず報われると思っている。どんな仕事に就いたとしても、そのことを信じ努力を続け、人を笑顔にするという夢を叶えたい。

戻る