【 奨 励 賞 】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
真のダイバーシティとは?
大阪府 グ レ コ 22歳

わたしには障害がある。世間一般で言うところの重度身体障害者だ。

歩くことは出来ず、普段は電動車いすを使用している。

そして、普段両親が働いている時間帯は、重度訪問介護を利用し、ヘルパーさんから身の回りの介助 をしてもらいながら生活をしている。

わたしは今、大学4年生である。わたしは今、就職活動をしている。

わたしは今まで、地域の公立幼稚園・保育園、地域の公立小学校、中学校、高校、そして今通ってい る4年制の私立大学に通い、今までの人生の中で、特段障害が理由となるような大きな壁にはぶち当た ることなく過ごしてきた。

しかし就職活動をしているまさに今、わたしは大きな壁にぶち当たっている。

受けた企業のほとんどが、障害が理由となって落ちた。

わたしは、パソコンの操作や筆記などの作業は健常の人と同じようにできるが、トイレにひとりで行 くことが出来ないため、どうしても誰かの介助が必要だ。その上、健常の人と比べて体力がないため、フ ルタイムで働くことが出来ない。

そのため就職活動では、介助の問題と短時間勤務が大きなハードルとなり、なかなかうまくいかない。

一番悔しいのは、ダイバーシティを掲げている企業から落とされることだ。

ダイバーシティを前面に掲げているからこそ、多様な働き方、多様なバックグラウンドを持つ人を積 極的に雇用しているように思えるが、なかなかそうではないと感じている。

最近、多くの企業がダイバーシティを掲げている。しかし、蓋を開けてみれば、はたして本当にダイ バーシティを掲げていいものなのか?と思うことが多々ある。

「我が社では、ここまではやりますが、これはやりません」

ダイバーシティに際限などあるのだろうか?本当のダイバーシティとは何なのか?

そんな問いがわたしの中を駆け巡る。

これから日本の労働人口は減っていく。

もう、もはや “ふつう” の人だけでは回らなくなるだろう。

私のような障害のある人だけでなく、子育て中の人、介護をしている人、体が弱く、長い時間働けな い人など、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちでも働きやすい環境になれば、社会はもっと豊か になると私は思う。

真のダイバーシティを達成することは難しいと思うが、今よりもっと多様性を受け入れる社会になっ て欲しい。

だからわたしはあきらめない。

今経験していることや、辛い思い、やるせない思いが社会を変えると信じて、これからもアクション を起こしていきたい。

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