【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
笑顔を届ける仕事
群馬県 松 丸 穂 香 20歳

「笑顔」ってとても素敵だと思いませんか?

私は現在20歳で、群馬県で学生をしています。そんな私ですが、今年の3月までは正社員として窓口事務員の仕事をしていました。せっかく入社した会社を2年で辞めてしまい申し訳ないという気持ちやもったいないという気持ちが無いといえば嘘になります。ですが、後悔はしていません。

私は高校時代、部活一筋でバイトもしたことが無かったため、そういう意味での社会については全く の無知でした。なので、仕事はお金をもらい、自分が生きていくためにしなければならないこととしか 捉えていませんでした。とはいえ、少しでも楽しく出来る方が良いと考え、話し好きだった私は窓口事務員の仕事を選びました。

そんな軽い気持ちで社会に飛び出しましたが、上司はフレンドリーに話しかけてくださり、仕事も丁 寧に教えてくれ、とても恵まれた環境でした。ですが、そう全てはうまくいきませんでした。お客様か ら言葉遣いや行動などでお叱りを受けることが間々ありました。その度に、お客様に対して申し訳ない という気持ちや、不甲斐ない気持ちなどいろんなものが混ざり合ってとても落ち込みました。お叱りを 受けてからしばらくの間は通勤中も帰ってからも暇があると脳内で反省会を行っていました。そのかい あってか、数か月するとすっかり窓口の顔として覚えてもらえ、世間話をするお客様も増えました。お かげさまで、「今日はどのお客様と会えるかな」とウキウキと仕事に向かうようになりました。しかし、 そこでもまた悲しいことはおこりました。窓口が混んでしまい、懇意にしてくださるお客様を自分が担 当できない日がでてきたのです。どこか寂しげな背中で出ていく姿に心が痛みました。改善したくても、 自分だけではどうにもできない現実にただただ打ちひしがれていました。

そんな折、上司との面談で「自分のやりたい道に進んだ方が良い」と言われました。私の密かな思い を知っての助言でした。当時の仕事に楽しさや、やりがいはありましたが、寂しい背中を見るためにこ の仕事を始めたわけではないのにとも感じていました。なので、助言をいただいてから自分の心と向き 合い、次第に高校時代の取り組みに心を馳せるようになりました。

私は農業高校に通っていたため、授業では植物の栽培実習を行い、部活動では廃棄されてしまう食品 の再利用に関する研究を行っていました。なので、高校3年間農業と向かい合っていました。特に部活動 では、廃棄物と一口に決めてしまわない物事の捉え方や、ちょっと変わった切り口の利用法、それらを 自らの手で切り拓いていく楽しさがありました。さらに、研究の普及活動の場では、多くの人に知って もらい意見交換をするため様々な方と交流をしました。そのおかげもあって人と話すのが大好きになっ たのです。そんな私のルーツが詰まっている農業にはもう1つの魅力があります。多くの人に笑顔の素 を届けられることです。自然が与えてくれた天の恵は、老若男女、さらには国境をも簡単に越えてしま うユニバーサルなものです。生産者が直接見られる笑顔には限りがあるかもしれませんが、その可能性は無限大なのです。

世間では、担い手不足や耕作放棄地問題など悪い所ばかりがピックアップされてしまっていますが、 決してマイナスなことばかりではないのです。そんな輝かしい職に就きたいと、この春学生の道へと再 び進みました。そして、既に私は農業の恩恵を受けています。高校生の頃は苦手意識からほとんど関わ りを持てなかった歳下の子たちと、同級生として、仲間として、ともに成長をしていけているからです。広大な大地を前にするとまだまだちっぽけな私ですが、農業に対するやる気は人一倍です。そんな私の 旅路は始まったばかりです。たくさんの笑顔の種を届けることを夢見て。

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