【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事を通じて、こんな夢をかなえたい】
先生から生徒へのバトンパス
浜松市立高等学校 嶋 野 一 輝 18歳

私は将来、やりがいのある教師になりたいと思っている。

そのように考えるようになったのは、私が中学3年生のころである。当時、私は陸上競技のハードルを していて、最後の夏の全国大会に向けて頑張っていた。私は全国大会の決勝に残るために、努力してい て、顧問の先生も私の目標達成のために逐一、私の走りを見ていただき、アドバイスをくださった。私 は走ることが大好きで練習に取り組んでいたのだが、先生が私にアドバイスをするとき、私と同じくら い楽しんでいたように思われた。逆にスランプに陥ったときには、1番の私の相談者になってくださっ た。良い動きができると、褒めてくださったり、悪いタイムだったとき、なぜ遅くなったのか動画を見 て一緒に考察してくださったりしてくれた。なぜだか理由は分からないけれど、自分自身が成長してい ると同時に、先生も私と一緒に成長しているような気がした。私を少しでも速くさせようとしてくれて 必死だったように思われる。そして、私と先生の二人三脚で成長していった結果、私は夏の全国大会で 決勝に進むことができ、4位に入賞することができた。全国4位という結果に満足している自分とメダ ルを取りたかったことや優勝したかった自分がいた。その嬉しさと悔しさが入り混じった感情を持った のは自分だけではなかった。家族はもちろんのことだが、一緒に成長してくださった先生もまた、その 1人だった。私は先生に謝られた。「ここまできたら優勝したかったよな。勝たせてやれなくてごめん な。」と。別に優勝できなかったのは、先生が悪いわけではないし、誰が悪いとか決めつけることは間 違っていると思う。むしろ先生に感謝の気持ちでいっぱいである。こうして私の夏の挑戦は終わった。

私は昔から特にやってみたい職業はなかった。しかし、今は違う。中学校の思い出があるからこそ、今 は教師という職業に就いてみたいと思えるようになった。そして、先生になったら、中学のときの顧問 の先生のような先生を目指したい。生徒としっかり向き合い、一緒に成長していきたい。そして、私の 育てた生徒から1人でも多く、教師を目指し、教師という職業の魅力を伝えていってほしいと思う。私が中学の顧問の先生に、教師という職業の魅力に気づかされたように。

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