【 奨励賞 】
【テーマ:働くこと・職探しを通じて学んだこと】
働かざるもの
明石若者サポートステーション  明 石 花 子  23歳

私は今働いていない。週に一度、厚生労働省の若者サポートステーションにキャリア相談に行っている。

大学を卒業したはいいが、私は就職活動をする気が起きず、在学中と卒業してからの一年間、何もしていなかった。理由は全て私個人の問題だった。元々、働くということは何かと考えてもみなかったのだ。そのため、将来の展望もなく、やりたいこともなかった。思えば、小さな時から具体的な夢も目標もなく、根本的に自分を支える軸が無い。誰のせいでもないのにそのことを恨んで、やはり何もしなかった。

しかし、はたらかなければならないというプレッシャーは自分の中からも、他者からも時々は感じていた。

そして、ようやく今年の春から就職のためのキャリア相談に行っている。今までほとんど考えてもみなかった働くということを今、真剣に考えている。

自分なりに考えた働くことの理由は「生活のため」である。お金がないと生活できない世の中であるから、それを得るために働くことが必要なのだ。さらに、時間を自分のためではなく、他者のために使うことも必要だと感じたからだ。自分が、他者が時間をかけて仕事で作ったものを一方的に消費するのは社会で生きている以上、不公平が生じる。

このようなことを思うが、何か考えが浅はかな気がする。もっと大切なこと見落としている気がする。

「それはただの理想だろう」

そんな声を出す私がいる。他者のために時間を使って得られる対価は正しいのか?頭を使っている人間だけが得をしていないか?肩書きが見られているのではないか?社会に存在する全ての仕事が社会に必要とされている職業なのか?おもいつくままに疑問がムクムクと湧き上がってくる。疑問を出すほど大切なことが分からなくなる。

そこで、家族や友人にちらっとそのことを聞いてみる。しかし、皆同じことを言いたげな顔、

「働いてもないのに大層なことを考えるな」

やはり、働かざるものには分からない解答なのだろうか。

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