【 努力賞 】
【テーマ:多様な働き方への提言】
失業者に対する新たな取り組み
スイス  関 根 葉 月  35歳

私は結婚を機にスイスのラ・ショードフォンという街に移住しました。そしてそこで見た失業者に対する取り組みが素晴らしいと感じました。

短大卒業後からスイスに移住するまでの6年間に私は様々なアルバイトを経験しましたが、生活費を捻出するためになんでもいいからバイトを見つけ、数年働いた後やり甲斐が感じられず、何かにつけて理由をつけては辞めて新しくバイトを探すということの繰り返しでした。そんな私がスイスに来て驚いたことはスイスではアルバイトという雇用形態はほとんどなくパーセンテージで仕事を見つけ契約書を交わすという形態でした。そのため2年間以上働くと、場合によって1年から2年の失業保険が支給されます。失業保険を受給している間も、生活習慣を変えないように希望すればキャリアアップのために学校に通わせてもらえたり、人によっては奉仕の仕事を斡旋されます。

私はスイスに来て2回ほど失業保険を受け取りました。その間1度目は言語ができれば職種も広がるし、仕事が見つかる可能性が増えるだろうという理由で1年間語学学校に通わせてもらいました。おかげで今では日常生活に支障がないほど語学が上達しました。2度目は工場での奉仕活動を半年間斡旋されました。そこでは廃品回収で集まってきた電化製品をリサイクルするため各部品に分けるという仕事でした。当たり前の様な朝早く起きて仕事に行くという生活習慣が、失業中でも精神的に大きな役割を担ってると痛感することになりました。

生活習慣がずれてしまうと、食事や睡眠にも障害が出てきます。私は個人的に生活習慣がきちんとしていないと、生きるエネルギーが湧かないと考えています。エネルギーが湧かなければ、社会とのつながりを持つ気力はもちろんのこと仕事を探す気力も湧きません。失業保険を期限いっぱいもらえればいいという考えを持つ可能性もあり失業者が増える傾向に繋がると思います。 年々失業者が増え続ける中で、失業者に対して一刻も早く職を見つけるよう圧力をかけるだけではなく、様々な面から失業者を支え失業率を下げるという取り組みもこれからの時代大事なのではないでしょうか?

そこで具体的に、失業者に対して面談を行い、どういう職種に就きたいのか、そのために必要な講習や情報を提供することが大事で、どこでもいいから、なんでもいいからではなく、自分のやりたいこと、向いていることを見極め、仕事を探すことも大切で、失業率減少にも繋がると思います。これからの時代、少しでも多くの人が自分のしている仕事や自分自身に誇りを持てるような社会が作り出されることを私は願っています。

戻る