【 努力賞 】
【テーマ:多様な働き方への提言】
働く理由
神奈川県  須 江 諭 未  32歳

私は、ただ“お寿司が好きだから”という理由で我が社に興味を持ち、ご縁あって入社した。

別に当初は、働く目的は無かった。しいて言えば、“卒業したら就職するものだから”とか、“奨学金を返すため”である。

また、店長になりたいとか、経営者になりたいとか、具体的な目標があったわけでもない。ただ、仕事なので上司に言われたことを失敗しながらこなす日々だった。

そんな中、私に働く理由を与えてくれた人がいる。大学時代から付き合っていた、現在の夫である。

夫の働き方は、就活をする前から、すべて“自分のため”だった。“自分のため”にスキルを磨き、“自分のため”に仕事をし、“自分のため”に休むのだ。そこには必ず明確な目的があり、目標は立てずに必ず目的を達成させる。

最初は、“彼のため”だった。彼は私に、常に無理難題を言った。「俺と休みを合わせてくれ!」それは、研修生のときも、本社の事務職の時も、店長になってからも続いた。しかも、要求はだんだんグレードアップしていった。“山に行きたい”、“旅行に行きたい”、“海外に行こう”、「俺は遊ぶために働いてるんだ。お前も、どうにかして休みを確保してくれ!」彼のワガママが私の常識をぶち破り、行動させた。

おかげで、公には6連休までしか認められていない我が社で、もう3年連続で9〜14日間の海外旅行へ行っている。毎月2〜3箇所は山へ登る。

しかし、それはとても難しかった。自分の代わりになって働ける人を育てなくてはならない。やってみると、難しいけれど、大変だけれどできないことではなかった。“どうしたらできるのか”を考えるのではなく、“できるにはどうするか”を考えるのが重要だった。どんなことも“絶対やる”と決めてしまえばできてしまうのだ。それまでは、やる前からあきらめてしまっていたのだ。

気づけば、いつのまにか私も“自分のため”に働くようになっていた。理由もなしに働いても必死にならないし、成長もあまりしなかった。言い訳ばかりでは、何も変えることはできなかった。

働く理由ができた私は、失敗しても挫折しないし諦めない。これからも、こういう働き方をしていきたい。

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