【 努力賞 】
【テーマ:多様な働き方への提言】
現代社会における女性の働き方とは
神奈川県  鈴 木 萌 美  28歳

 昨年出産をした私は、現在育休中のOLです。学生の頃から、男性に頼らず、自分の生きたいように生きていくと強い希望を抱いていた私は、就職活動においても、女性の働きやすい環境の整っている会社を選んでいました。ありがたく私に内定をくれた今の会社は、産休・育休・その後の時短勤務等、子どもが産まれてからも働き続けることが出来る制度が整っており、妊娠中においても、職場の理解のおかげで、トラブルなく仕事を続けることが出来ました。

 しかし、無事に出産を終えた私は、それまで「定年まで男性と同じように働き続けたい」という思いが180度変わってしまったのです。まず、一番私の心を動かしたのは、他でもなく産まれたての我が娘でした。とにかくかわいくて仕方がない。こんな小さな赤子を預けて、働きになんて出られない。それまでの私の信念はどこへやら、我が子と離れたくない気持ちでいっぱいになってしまったのです。そして次の問題は、今まさに改善されるべき保育園問題。保育園活動、いわゆる保活を始めたのは娘が生後一か月の時でした。しかし、その時にはすでに来年度4月入園の認可保育園の締め切りは終わっており、見学すら断られる園もありました。結局、転居覚悟で見学範囲を広げ、隣町の認可外保育園に無事落ちつき、我が家は引っ越しをしました。

 復帰する目途もついたにも関わらず、私を襲ってきた次なる不安、それは娘が小学校に上がった際、今の仕事を続けられるかという事。今は学童も充実していますが、多感な時期、何か学校で嫌なことがあった時など、家が安らぎの場所であるように、母親として家にいてあげたいと思うようになりました。朝「いってらっしゃい」と見送り「おかえりなさい」と迎える、それを叶えるには今の仕事は続けられません。

 日本の女性が男性に比べて所得が低いのは、女性が結婚、妊娠、出産、子育てと、人生の数々の分岐点において、働き方を考えなくてはいけない事、そして続けることが困難な状況が多々あることに原因があるのではないでしょうか。また、子育て中の女性が再就職することが難しいこと、選択肢が少ないことにも問題があると思います。働きたいと思っていても、子どもが可愛くて離れたくない、保育園が見つからない、子育てしながら働くのが辛い、そう思っている女性は、世間が思っている以上に多いと私は感じています。

 これからの日本企業が、正社員でも「シフト制短時間勤務」「在宅勤務」等、多様な働き方が当たり前にならないと、いつまでたっても女性は苦しむことになるでしょう。これは女性だけの問題ではありません。子どもを持ちながら仕事をする事が困難である限り、少子化問題は改善されず、これから高齢化社会に向かっていく日本の社会保障にも影響のあることです。子どもが減るということは、未来の日本の危機であると私は思います。だからこそ、「女性が働きやすい社会を」「子育てしやすい世の中を」とアピール合戦の口先ばかりではなく、もっと真剣に考えなくてはいけません。これも、世の中の人が思うより、女性は働きづらく、子育てもしにくいからです。

 女性が働きやすい社会、それは男性にとっても重要なことだと思います。子育てとは女性だけのものでは無いからです。そして労働も男性のものだけではありません。21世紀に生きる私たちが、いまだにこのことに苦しんでいる事は、とても滑稽でなりません。

 生き方は人それぞれ違います。それなのに、画一的な制度しか無い日本の社会は変わらなければいけない、私はそう思うのです。

戻る