【 努力賞 】
【テーマ:多様な働き方への提言】
病人が働くこと
富山県  竹 内 美 月  26歳

 私は今、働いていない。否、働くことができないのだ。

 私がまっとうに働いていたのは、ほんの二カ月間のことだった。就職して二カ月たったころ、私は病気になった。そしてあれよあれよという間に寝たきりになってしまった。

 私の今一番の願望は、働くことである。病気を治そうなんて、大それたことは思わない。治らない、一生付き合っていかねばならない病気だとわかっているから。けれど少しでも症状を軽くして、障害者として働くことができればと思っている。

 体調の良い日に、障害者雇用について調べてみたことがある。そのほとんどが、知的障害者や精神障害者の方に向けた簡単な作業だった。自慢ではないが、私は国立大学を卒業して学位を持っている。国家資格も持っている。軽作業には満足できない。

 では、と思って見てみると、事務作業やパソコンを扱う仕事もあった。けれどもそれらはすべてフルタイムで、どうやら体は丈夫だけれど歩けない、といったような人を対象としているようだった。私はどちらにも属していない。後者の、例えば車椅子バスケをやるような人たちには、一種の嫉妬さえ覚える。私には自力で車いすを動かすだけの腕力すらない。

 私のような病人の働ける道はないのだろうか。

 周りの友人たちの多くは就職して五年目。会うとどうしても仕事の話が多くなる。特に愚痴。忙しくて嫌だの上司が嫌だの。私もそんな愚痴をこぼしてみたいと思う。愚痴をこぼせるだけ、幸せなのだと知った。

 治らないとされている病気にかかりながらも、私は、将来どこかで働くのだという希望を捨てられない。真っ暗闇のような将来に向かって歩いている日々、一日一日を過ごすだけの日々だけれど、きっといつか働けるようになってみせる。

 そのためにも、病人が働けるような、働きやすいような、社会になってほしいと願う。

 私だけではなく、困っているすべての人のために。

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