【 努力賞 】
【テーマ:多様な働き方への提言】
マタハラの実態と女性の活躍がもたらす社会貢献
愛知県  RIKO  24歳

私は店長という役職に就いていましたが、妊娠発覚後に即解雇になるという“マタハラ”を経験しました。

名古屋市にあるデパート内のランジェリーショップに就職後、個人売り上げは1位をキープ。その後、半年で店長に昇格することができた私は、結婚を前提にお付き合いをしていた彼との間に子供ができました。

私は、妊娠中はもちろん、産後も同じ職場で働きたいという強い気持ちがあったので妊娠の報告と共にその旨を上司に伝えると翌日にマンツーマンでの面談が決まりました。

「妊娠おめでとう!万が一の場合に責任を取れないから、赤ちゃんのためにも仕事を続けることはオススメできないかな」これが上司の口から出た最初の一言でした。職場は女性向けランジェリーショップなので、スタッフは全員女性。そのため産前産後、育児休暇などの福利厚生は、男性と共に働く企業よりも優れているものだと思っていました。しかし、実際はそうではありませんでした。

妊娠をしたら、該当者がどんな立場や状況であれ即退職。スタッフの穴埋めは、派遣社員で補うというのがこの会社のやり方。上司はすっかり割り切っており、普段とは違いこちらの意思を全く聞き入れてはくれませんでした。

とはいえ、会社側から解雇することはできません。上司はどうにかこちらの意思で、退職をする方向にもっていこうとすること2時間。最終的には「責任感がない」「だらしない」などと責めたてられ、ついにはこちらが諦めることになりました。

「では退職します…」と言った瞬間、上司のカバンからは退職に必要な書類がズラリと出てきました。私の個人情報と共に、あらかじめ1つのファイルにまとめてあったのです。そしてすぐさま社長に電話を入れると「決まりました! 妊娠中、産後に仕事を続けることが難しいため、退職したいとのことです」と、あくまで私の意思で退職をするという伝え方を社長にしていました。1カ月先まで私のシフトは決まっていましたが、即日退職。その後、私がお店に出勤をすることはありませんでした。

今現在、結婚後や産後に働きたいと思う女性は非常に多くいます。経済的な理由はもちろん、女性の自立心の強さ、積み上げてきたキャリアの維持など、女性にとって結婚が“最終就職”と言える時代ではなくなってきているのです。

しかしそういった女性が増えている一方で、社会は遅れをとるばかり。その結果がマタハラ、待機児童に繋がっているといえます。例えば、産休育休制度の充実だけではなく託児所が完備されている企業が増えることで現代の社会にメリットがいくつ生まれるでしょうか。託児所が増えれば、保育士問題も解決されます。少子化も長年問題視されていますが、産後働くという選択肢がほとんどない状況で、女性が安心して結婚、出産を考えることができるでしょうか。子どもを抱えて死にいくような生活はできません。妊娠、出産は悪いことなのでしょうか?女性は、妊娠、出産の度に職を奪われなければいけないのでしょうか?育休から復帰後、2人目妊娠のために再度産休をいただくにも、決まって嫌な顔をされなければいけないのでしょうか?“女性が働く”ということにおいて、社会の現状が改善されない限り、マタハラ、待機児童、少子化問題さえいつまでたっても解決されないと思います。

最後に。

私は現在、2歳と7カ月の子どもの子育てをしながら在宅でライター業をしております。夢は書籍出版。そして、ママが1人の女性として、過ごしやすくもっと輝ける社会作りに貢献したいと思っています。そう考えられるようになったのは、マタハラがきっかけであるとも言えます。

事実、退職をしていなかったらライター業をすることも、書籍出版の夢を抱くこともありませんでした。

マタハラを経験したママたちが“働く”という点においてそこで立ち止まらず、新しい自分の道を切り開くことができますように。

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