【 努力賞 】
【テーマ:働くこと・職探しを通じて学んだこと】
働くことは倫(みち)を歩むこと
東京都  児 嶋 達  22歳

 働くって、正社員として雇用されるって何だろう、と考えた時に私の中に真っ先に出てきた言葉が「みち」でした。働くうえで出てきた「みち」は全部で3つです。

 まず初めは「未知」です。学生の時はアルバイトはしていましたが、もちろん、現在の働き方とは全く異なっていました。現在は生活に必要である等の要因で働いているのに対し、学生の時には単純に現金の為であったり、アルバイト自体を楽しむためであったりしました。だから、私は趣味をやるのと同じように楽しいだけでアルバイトをしていました。

 私は大学を卒業して正社員という「道」を選びました。就職活動をしてたくさんある道から一つを選択し、4月より働き始めたのです。私にとって、社会人という存在は「未知」のものではなくなりました。もちろん道を選択した後に、社会人であること、その存在自体は未知ではなくなりましたが、しかし働いてみて気が付いたことは、働いても、働いても、未知が出てくることです。自分の席の周りを見回してみれば、自分を直接指導してくださっている先輩も直属の上司も、更にその上位の方々まで、皆さん、毎日いろんなことを学んだりしていました。やはり、働くことは「未知」を乗り越え、更なる「未知」に挑戦することなのだなと思いました。

 アルバイトをしていた時とは目的が違うと述べましたが、それが「道」を選択することだと考えています。正社員の仕事でも目標を達成した時など、楽しいと感じることはあります。ただ、学生の時のように楽しいだけじゃないのは確実です。アルバイトであれば、不都合があれば、やめることは簡単にできます。実際に私自身も大学4年間の中で生活環境が変わった時が何回かあり、その度にアルバイトを変えるという経験をしました。もちろん、私にも正社員にならずにサラリーマンにならない生活を続けるという「道」を選択することもできました。そして、その道で一生食べていく自信も、またありました。

 私が現在の道を選択したのは、なぜでしょう。それは、欲、です。大学生の時のような稼ぎ方をしても食べていくことはできます。しかし、食べていくことだけで必死になるかもしれません。もちろん、サラリーマンではないので、今以上に圧倒的に稼いで大金持ちになれる可能性だってあります。ただ、私の欲はちょっとした余裕です。私には趣味があり舞台をやっているのですが、それには週に休みが2日あれば足ります。それで幸せなのです。仕事自体の楽しさ生き甲斐を求める人もいるでしょうし、稼ぎを最重要視する人もいるでしょう。それぞれの人がそれぞれの欲に従って道を選択するということは、自然だと思いますし、そうすべきだとも思います。

 とはいえ、欲ばかりでは多くの人が自己中心的になって、社会がおかしくなってしまうのではないか、と考える人もいるでしょう。そこで出てくる3つめの「みち」が「倫」です。社会人として働くと、学生の時と何が変わるか、と聞いて多くの人が答えるのが責任という言葉でしょう。私もそう考えましたし、周りの30名ほどに聞いたところ、全員が5番目以内に責任という言葉を出してきました。働くことによって、責任が出る、これが倫です。業務中に成し遂げたことにおいて責任が出るということは容易に想像できますが、倫は業務中だけのことでしょうか。サラリーマンであれば、業務外でも非道なことをはたらけば解雇になってしまいます。その危険性もあり、多くの人は倫を大きくは踏み外さずに生活しています。

安定した社会を構築するためにこの「倫」という考え方は非常に重要だと思います。日本は比較的就業率が高いといわれています。それは、多くの人が「道」を選択し、「未知」を乗り越え、「倫」を歩んでいるからではないでしょうか。働くこと、すなわち「倫」を考えながらこれからも、私は今の職を大切にして生きていきたいと思います。

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