大学3年になると就職活動に向けた講義が必修科目になる。就職活動に向けたインターンシップ制度や就活サイトの登録と活用法などを大学のキャリア支援担当員からレクチャーを受ける。先日はいち早く大手企業に内定した先輩方からお話を伺うという内容だった。
最終面接と同じ服装で登壇した4人の先輩方は内定が決まるまでについての質問に順番に答えていく。その姿は堂々としていながらも嫌味がなく謙虚だ。あらかじめ用意されていたよくある質問内容よりも、質問に対して自分の言葉で受け答えする先輩方の姿がそれぞれとても魅力的だった。就職活動を通して自分を磨くとこのような大人になれるのかと希望を持った。しかし、それとは打ってかわり進行を担当するキャリア支援員は自分のことのように誇らしげに大手企業の名前を何度も口にする。今日登壇するはずだったあと一人は既に内定を複数頂いていて、今日は第一志望の企業の最終面接のため欠席だそうだ。そう紹介されて、見習うべき就活生としてスクリーンに大写しになる先輩がちょっとかわいそうになった。本人たちが自身を高める為や社会により貢献するために志望した企業が、味方であるはずの大人によって企業名が一番の価値のように扱われる。そして私は私の将来が不安になる。さっきまでの凛とした先輩方へ憧れる気持ちはどんどんしぼんでいく。企業名で評価していることが明らかな支援員に相談することが心配になり、名の知れた企業を志望することが正解で当然のような刷り込みにもうんざりする。
だからといって逃げられないのが就活だ。もちろん親のすねをかじるわけにはいかない。アルバイト生活では大学生活で借りつづけた奨学金の返済もままならないだろう。自分で選んだことの責任は自分で負わなくてはならない。このまま受け身で誰も教えてくれなかったからと文句を言いたくはない。自分の構想する将来像への道筋を自分の足で探し当てなくてはならないのだ。就職活動開始まで1年を切った。やるべきことはたくさんある。