私は将来、サウンドクリエイターになりたい。そして、この世界に生きる誰かの心に、私の作品を刻みつけたい。
私がサウンドクリエイターを志したきっかけは、二つある。一つは、音楽と創作が好きだからだ。幼いころからピアノを習い、音楽に触れてきた私は、音楽がない生活など考えられないほどに音楽が好きだ。それと同時に、自分の感性を何かの形にして表すこと、すなわち創作することが好きだ。私は欲張りなので、その二つの好きを、どちらも仕事にしたいと思った。もう一つは、私自身が音楽によって心を動かされてきたからだ。音楽には様々なものがある。詞のあるもの、ないもの。ジャズ、クラシック、ロック、ポップス、ゲーム音楽など。それらを通して、私はいくつもの感動を味わった。音楽は私を励まし、落ち着かせ、元気づけ、泣かせ、執拗に私の心を揺さぶってきた。だから私も、そんな作品を創りたいと思った。
社会に出て、サウンドクリエイターに求められるものは、商業音楽、すなわち売れる音楽だ。それは、必ずしも私の創りたいものではないだろう。時には私の個性が邪魔になるかもしれない。時には私の主張を押し殺さなければいけないかもしれない。それでも、この手で音楽が創れるのなら、それを仕事にできるのならかまわない、などとは思わない。もちろん、仕事としてやらなければいけないことは、必ずそれを全うする。自分の好き嫌いに関わらず、一つ一つにしっかり向き合うつもりだ。それが、プロのクリエイターというものだろう。
しかし、それだけでは物足りない。たった一つでもかまわない。たった一つ、私の全てをぶつけた、私だけの作品を創りたい。それを世界に届けたい。それで誰かを感動させたい。それが、私の夢だ。
世界中にはたくさんの人がいる。人種、文化、宗教、たくさんの違う人が存在している。同じ人など、一人もいない。だから、感性も人それぞれだ。おいしい、まずい、上手、下手、綺麗、汚い、良い、悪い、好き、嫌い。一つのものに対しても、感じ方はそれぞれあるはずだ。だからきっと、私の作品をいいという人もいれば、悪いという人もいるだろう。好きだという人もいれば、嫌いだという人もいるだろう。それは当然だ。
そう簡単に、人の心を動かせないことも分かっているつもりだ。私自身、数え切れないほどの作品に触れ、そのどれもが心に残ったかと聞かれれば、そうではない。本当に心に残っている作品など、数えられる程度にしかない。
だから、この七十億人が生きる世界の中で、たった一人でいいから、私の作品が誰かの心の中に刻みついてほしい。
心を動かす作品は、恐ろしい。一度動かされてしまうと、体に染みついて離れないからだ。そして、そんな体験をしてしまうと、何かしらの影響を受けざるを得ない。私が、こうしてサウンドクリエイターを志すように、良くも悪くも、何か影響を受けるはずだ。それは作品が与える衝動が大きければ大きいほど、影響も大きくなる。人生を変えてしまうほどに。
サウンドクリエイターになることは、一つの目標にすぎない。そこから、たった一つでも自分自身の作品を生み出し、たった一人でも誰かの心に強く刻みつけたい。
その人の、人生を変えてしまうくらいに、強く。