【 努力賞 】
【テーマ:多様な働き方への提言】
新しい働き方の光と影
日本大学三島高校  町 田 崇  17歳

現在の企業や会社での働き方は、非常に多様化してきている。四、五十年前までは手作業や肉体労働がメインだったのが、ここ最近は急速に機械化、自動化が進んでより便利さが増している。駅ではICチップを内蔵したカード、写真や動画を撮るために使うドローンなどがその代表だ。しかしその一方で労働者の労働形態が大きな問題となっている。

物を購入する人、いわゆる消費者はスーパーマーケットや家電量販店などで食料品や生活必需品を買う。それらの店の多くは二十四時間営業や深夜まで開いている。消費者はいつでも行けて、何でも買うことが出来る。一方、労働者側(店員側)は真夜中近くまで働かなければならず、もし翌日の開店が早かった場合は不眠不休ということになるのではないか。時間の問題だけではない。労働者の健康上の問題も発生してくる。特にパソコンやタブレット端末といった電子機器を使うデスクワークでは目や頭にかかる負担が大きく、過労死や裁判に発展した事例も多くある。私は今の職業の労働形態が大きく多様化した分、以前よりも労働者側に与える影響が大きくなっていると考えている。より長く働けば企業(特に大企業)が行っている賃上げで給料をより多く取得できるが、先程述べた健康的な問題に加え、ストレスや複雑な構造に対する周知・理解不足といった精神的な問題にも私達は悩まされているのかもしれない。

どのようにしたらこのような問題を改善、また解決できるのか。私は第一に労働者をしっかり守る環境を整備すべきだと思っている。深夜営業を極力やめる、万が一行わなければならない場合は従業員を交代制にして、残業代を払うということが必要だと私は思っている。最近はルールを守らず違法労働を行っているブラック企業という名をよくニュースでも聞くことがあるが、そうした企業にも国や地方自治体が適切な勧告や指導を行うことが求められている。また、精神面ではどの範囲でどんなことをするのかを手順で定めたり、心の問題をサポートする専門家を配置することも大事になる。少子高齢化で若者の割合が少なくなってきている現在の日本で、十分な労働力を確保することは難しくなり、反対に仕事の幅は広がり充実した生活をすることが困難な労働者も多くいる。そんな中でどのようにして労働者を守るかが将来に向けて課題になってくるだろう。

私は今、高校生だが働いたことがなく、選挙に参加できる十八歳にもなっていない。しかし成人して将来働くとなった時に労働者となった自分を支え、仕事に全力で取り組める会社に入りたいと考えている。職場の上司や同僚との関係はもちろん、便利になった分複雑化した仕事に対応することも大事になってくる。そのために会社や企業だけでなく、社会でどのようにしたら多様な働き方に対応できる労働者を確保できるのか、どのような環境で彼らが前向きに仕事に取り込めるのかをもっと議論していかなければならないと私は考えている。

戻る