【 努力賞 】
【テーマ:仕事を通じて実現したい夢】
過去と現在、そして未来をつなぐ
仙台白百合学園高校  菅 原 茉 穂  16歳

2011年3月11日。この日を機に災害への意識が大きく変わった方も多いのではないか。私もその1人だ。仙台で東日本大震災を経験した私は、宮城県民として、日本国民として、地球に住む人として、そして、1人の人間として叶えたい夢がある。それは、気象庁に入り、気象という視点で人々を自然災害から守ることだ。

 地震、津波、火山の噴火、台風、竜巻、土砂災害等、たくさんの自然災害が存在し、これらはどれも私たちを悩まし、時には命を奪うこともある。この16年間、何度も自然災害を経験し、悲惨さを感じてきた。自然は生きていく上で不可欠な存在であり、自然が存在し続ける限り、自然災害は起こり続ける。どんなに科学技術が発達しても、自然災害は昔と変わらず起きる。事前に予測することは可能になってきたが、現象そのものを食い止めることはできない。将来も同じだろう。実際私も大きな地震を経験し、人は自然の力にかなわないことを実感した。将来より便利で発展した社会になったとしても、自然災害がなくなる便利な社会にはならないだろう。人と自然の共生は、これからも重要な課題になると考える。

 自然災害の中でも、気象の分野に着目したい。気象災害にもいろいろな分類があり、大雨、強風、雷のように日常で経験する可能性が高いものもあれば、異常気象のように平年から大きくかけ離れた現象もある。異常気象は、地球温暖化などの環境問題との関係も考えられており、近年話題になってきた問題の一つだ。このように、気象に関わる自然災害には、昔から変わりなく続いている現象だけでなく、地球温暖化をはじめとした、現代だからこそ生じる環境問題によって起こる現象も含まれる。将来どんな環境問題が発生するかわからない。将来起こる環境問題によって新たな気象災害が起きる可能性は十分に考えられる。気象災害に関わることで、将来起こるかもしれない新たな災害にも関わることができ、過去、現在、未来をつなぐ架け橋になれると考えた。

 私は空が大好きだ。朝起きた時にすがすがしい気持ちにさせてくれる朝日、真昼のまぶしい太陽、恵みの水をもたらしてくれる雨、空に絵を描く雲、そして、夜には光り輝く宝石箱で心を癒してくれる夜空。しかし時には自然災害を起こし、社会に被害をもたらす。そんな空の良い点、負の点をどちらも受け入れ、社会貢献したい。まだ知識が浅いが、高校生の私なりに考え、気象庁で気象災害から人々を救いたいという夢を持つようになった。国家公務員として国民を背負う責任を持ちながら、国の最前線で国民のために災害に関わりたい。そして、世界に関わる気象問題に、国際協力を含めて取り組みたいとも考えている。地震大国である日本で、震源に近い宮城で大震災を経験し、自然災害の恐ろしさを体験した私だからこそ、この経験を将来へ生かせる機会と捉え、向き合っていきたいと思う。過去から現在、そして、未来へと続く気象災害に。

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