【 佳  作 】

【テーマ:仕事を通じて実現したい夢】
女性が輝ける社会の実現のために
山口県立山口高校通信制  久 冨 詩 織  18歳

女性には、出産後仕事を辞め家庭内で生きるか、結婚をあきらめて仕事一筋に生きるかの二択しかないのだろうか。生涯仕事をしたいと思っている人の中には、育児のために結婚をあきらめてしまっている人もいるだろう。女性が結婚相手に求める条件として「お金」という言葉を聞いてうんざりする男性もいるかもしれないが、出産後養ってもらわないといけないことを考えると、仕方のないことなのかもしれないと思う。しかし、私はどちらも選びたくない。自分のしたい仕事をし、子どもを産んでも仕事をしたい。

私の家は、共働きだった。保育園の送り迎えのほとんどは祖母にしてもらっていた記憶がある。母に聞いたところ、私を産んだときは一年までしか育児休暇をとることができなかったらしい。弟を産み、一年休んだ次の年から三年間の育児休業が認められるようになったのだが、すでに働き出していた母は結局一年しか休まなかったようだ。そこで、父に一年ほど育児休暇を取ってくれませんかと尋ねて、返ってきた言葉はこうだった。

「そんな恥ずかしいことはできない!」

やはり男性の中で育児休暇の意識は低く、自分には関係のないものだと思っていることが解る。それにしても、「恥ずかしい」と思っていることには驚いた。私の両親はともに教員で、母は育児休業をしても復帰することができた。しかしそれは教員という公務員だからともいえる。男女がほとんど同じ内容の仕事をし、同じだけの給料をもらっているからこそ、男女が同等に扱ってもらえるのだと考える。民間企業では、妊娠したら退職してねと言われることもあると耳にした。経営側は効率を重視し、育児休暇を取ることで仕事に穴が空くことを足手まといだとしか思わないのだろう。だからこそ、はじめから女性であるということで地位の低い仕事でしか雇ってもらえないのだと思う。お茶くみやコピーなどの雑務が必要のないものとは決して言わないが、多くが女性である。それに比べて管理職や総合職には、悲しいくらい女性が少ない。先ほど男女間の格差が少ないとあげた教員でさえ、近年は少しずつ増えてきているとはいえ、管理職に女性はほとんどいないのが現状だ。

少数派である管理職に就いている女性は、独身の方が多いのではないだろうか。または育児をかなり犠牲にしているか、旦那さんが育児への相当の理解・協力をしているかのどれかだと思う。それだけ育児休業は仕事に影響してくるのだ。何年か前にイクメンという言葉ができたように子育てに積極的な姿勢を持ってくれる男性も勿論いるが、まだまだ社会での意識は低いように思う。それゆえに、育児休暇を取ったために出世コースから外されてしまうというのはよく聞く話だ。

女性が働きにくい環境が変わらないのは、男性の意識や制度の問題だけではない。私は、女性にも問題があるのではないかと考える。女性であるということを盾にして、面倒なことから逃げている人が少なからずいるのではないかと思ったからだ。そうすると実力を認めてもらいたいと精一杯努力している人の足を引っ張ることもあるだろう。

私は将来、結婚して出産をしても、ずっと社会とかかわっていきたい。しかし、今回女性の働き方について考え調べているうちにさまざまな問題に気づくことが出来た。それは女性の立場がまだまだ弱いということ。そして女性の負担が大きいことに気づけていないことである。今後は問題の一つ一つとどれだけ真剣に向き合えるかである。女性が輝ける社会を少しでも実現させるためにも、これから広い視野を持ち、自分の夢を追いかけていきたい。

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