先日、アドラー心理学の講演会に行った。
その時に心に残った一言は、「アドラー心理学は、あなたとあなたの周りの人達を幸せにする為にある。」という言葉である。
人が仕事をする時間は、人生の中で睡眠時間を除けば、最も長い。その時間を『社畜』と呼ばれる奴隷の状態で生活するのか、または、アドラー心理学のいうような、自分と周りを幸せにする時間として生活するのとでは、まったく人生を異にすると思う。
私はこの春、長いこと続けてきた仕事を退職した。心身のバランスを崩して、体力的に続けることが困難になっためである。
その原因を自分なりに考える。私は果たして仕事に生きがいを感じていただろうか。自分が仕事を通じて幸せだと感じていたか、仕事を通じて周囲を幸せにしていただろうか。答えはおそらく、否である。
確かに収入は確保されていた。だから、懸命に仕事に取組んではきたが、次第に心と体を蝕み、ついには続けることが出来なくなってしまった。つまり、仕事を続けることが、私自身の生きる力につながらなかった。
今、社会では多くの人が同じ状況で、過重な労働にあえぎながらも仕事を続けていると思う。そのあまり、毎日ニュースで目にするような人身事故につながっているのだと思う。
人によってストレスの感じ方は多様である。
同じ状況でもストレスを感じない人もいれば、他方では、心と体を痛めつける結果となる。
仕事とは、幸福を実現するための手段である。自分にとっての幸福を見つめ、その実現のために仕事をする。そこに仕事の本来の価値がある。
仕事を選ぶとき、忘れてはならないことが、この幸福を願う『心』だと思う。「この仕事」を通じて、自分は幸せになる、幸福になれると信じられる仕事を選ぶこと。一度や二度的外れであっても、諦めずに、自分に問い続け、自分に合った仕事を求め続けること。それが本当に大切なのではないだろうか。
これが、私の苦い経験から学び、これから仕事を選んでゆく若者に伝えたいことである。
そして私も、残りの人生を自分らしく生きるために、心から幸せを感じられ、周囲を幸せにできる仕事を見つけたいと思う。