「図書の仕事をするには、どうしたらいいん?先生みたいになりたいんや」
こう小学4年女子に言われた時は大喜びであった。まるで私の仕事を認めてもらったみたいに感じたからである。が、次の瞬間には言葉を詰まらせていた。
昨年から学校の図書室で働き始めた。司書資格はない。教員免許でも良いということで採用に。学期末ごとにある研修で、図書についての勉強会はあった。読み聞かせやブックトークなどを教えていただき、同期採用の人たちと情報交換して仕事をこなしてきていた。
そんな折、生徒からこのような質問を受けると、『司書の資格を取ればいいのよ』と答えることが出来なかった。その後に『私は持っていないけど』と小声で頭の中を言葉が踊ってしまいそうで。
司書になるには大学で該当する講義の単位を取得すれば資格が取れる。では、私のように大学生でもない人間は・・。通信教育がある。働きながらでも可能だ。今からでも遅くはない。そうだっ、基礎から学ぼう。今まで漠然としていた部分もはっきりとしてくるだろう。通信教育なら、仕事と家事をして、時間を作って何とか出来るのではないか。いや、チャレンジだ。何より今の仕事の根幹を学ぶのであるから仕事にもその勉強が反映させられる。彼女の一言が私の心を決めてくれた。
通信教育に申し込みをして十日。勉強の教材が届いた。久しぶりの勉強だ。図書館がこれほど奥深いとは、と教科書を読みながら頷いたり、呟いたり。レポートを書くための参考文献は図書館でリクエスト。学校に行っても休みでも図書館・図書館・図書館。大学卒業から何年もしてから始める勉強は中々覚えられない。でも、乗り切るしかない。幸い夏休みとなり、仕事は休みだ。勉強に打ち込むなら今だ。
小二の子供からは
「お母さんも教科書があるん。それとも夏休みの宿題?」
と目を大きく見開かれ。主人からは
「まるで受験生だな」
と冷やかされ。暑い夏を過ごしている。
でも、こうして『何か』という強い目的を持って学ぶことがいかに大切か。
「先生みたいになりたい。図書の仕事をしたいから」そういった希望を持った子供たちを導くためにも、仕事、勉強、家事の一人三役をこなそうと邁進している。将来、司書となった子供たちと一緒に図書館で働いている、そんなことを夢みながらレポート提出に追われている。