【 努力賞 】
【 テーマ:仕事を通じて実現したい夢】
嚥下障害のリハビリテーションを通じて実現したい夢
大阪府  夫津木 健 一 41歳

私は、言語聴覚士(ST)として臨床を初めて19年目になる。言語聴覚士はコミュニケーションに問題のある方のリハビリや、食べたり、飲んだりすることに問題のある嚥下障害のリハビリにも関わる。私は、主に脳卒中後の嚥下障害のリハビリ業務に携わってきた。

私がSTの養成校を卒業した頃は、養成校でも嚥下障害のリハビリの教育は充実している内容とはいえず、仕事を通して嚥下障害のことについて理解していった。ちょうど私が臨床に携わった頃から、日本で嚥下障害のリハビリについて広まっていったので、嚥下障害に関連する図書や講演などが増えていった。20代、30代の頃は色んな患者さんを担当し、最終的に食べられるようになった患者さんもいれば、胃ろうになったまま食べられない患者さんもいた。胃ろうになっても再びリハビリによって口から食べられる患者もいた。人数は少なかったが、再び口から食べる喜びを患者さんと共有することができてよかった。食事ができないと病院から施設へ転院するときになかなか転院できないこともある。最近は、胃ろうを拒否する患者や家族もいるために、なんとか誤嚥性肺炎を起こさない工夫をしながらも口から食べられるかをつねに考えている。しかし、認知症を発症すると、食事を口に運んでも口の中にためこんだり、飲み込めないこともしばしばである。

認知症は、超高齢社会の大きな課題である。認知症は思ったほどよくならない。日本の死因別第3位は肺炎である。その肺炎には食べ物が気管に入る誤嚥性肺炎も含まれる。私は40代に入り、この現実を専門誌に投稿したり、講演する機会を得たり、今後は、私なりの社会貢献ができるよう、臨床をやりつつも、自分で執筆した原稿を出版したり、もっと講演活動を増やして、嚥下障害のリハビリについて知ってもらいたい夢がある。まだまだ、一般の方には知られていない嚥下障害である。医療や福祉に関わる従事者にも知ってもらいたい。そのために、思ったことを書きとめて新聞に投稿して実際に掲載されたり、職場で講演する機会を得て、プレゼンテーションについてもスキルを磨いている。どうやって、一般のみなさんに嚥下障害のリハビリについて知ってもらうかを考えると、新聞や雑誌、本やテレビで取り上げてもらうなどいろんなメディアやツールを通して、最期まであきらめず口から食べることを実践できるSTとして今後も社会貢献していきたい。人前で話すのは苦手だが、何度か経験すると達成感はある。仕事における失敗や成功は私の人格形成にも影響する。この仕事は注意深い観察眼や忍耐力が要求される。日々、高齢患者の食事と向き合いながら、少しでも食べてもらって、食べたくない日があったとしても、毎日拒否されたとしても、チーム医療で患者さんにとって最善なリハビリを提供したい。

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