【 佳 作 】
ふと考えた。
いつからだろう?夢を持たなくなったのは?子供の時は皆、夢があっただろう。夢を持っていたはずだ。大きくなったらプロ野球選手になる!宇宙飛行士になる!お医者さんや学校の先生、ケーキ屋さんにお花屋さん、そして、お父さんのお嫁さんになるのが夢!なんてかわいい事を言う子も居た。皆がそれぞれにキラキラした夢を持ち、その無限大の「夢」に向かって努力し、大人に成長して行く。それがどうだろう?大人になったらいつの間にか夢が無くなってしまっている。会社が悪い!上司が悪い!挙句の果てには日本という国が悪い!他人のせいにして自分を正当化させて、自分を納得させている。どうせ頑張ったって給料上がらないし、大人しく生活すれば何とか食べていけるからこれでいいや!税金払いたくないから車なんて要らない!夢?夢なんて所詮夢だよ、と、自分から夢を捨てている。
当然私にも、子供の時に夢があった。
「社長になる事」だ。
目をキラキラさせながら、社長になる!と母親に宣言し、勉強を頑張り、家の手伝いをし、子供なりに夢の実現に向けて頑張った。しかし成長していくにつれて、勉強についていけなくなり、社長は…、無理だな…。と、簡単に諦め捨ててしまっていた。
就職してサラリーマンになり、仕事をがむしゃらに頑張った。充実はしていたが少しずつ自分を見失っていき、毎日の残業や休日出勤、売上ノルマに追い込まれ、笑顔が自慢と自負していたのに、その笑顔も無くなっていた。28才の時に交通事故に遭い、腕に神経麻痺が残り、今まで普通に動いていた手も動かなくなった。利き腕だった左手は動いてくれなくなり、片腕だけでは動作が制限され、一つの仕事も倍以上の時間が掛かる。離職を余儀なくされ、俺の人生は終わってしまった…、と絶望し落ち込んだ。
何故だ?なんで俺?なんでこんな事になったんだ?と、来る日も来る日も原因をずっと考えた。
そしてふと気付いた。夢をあきらめたから?夢を持たなくなったから?そうか、「夢を無くすと人生を無くす」考えてみれば夢を自分で諦めてから人生の歯車が狂いだした様に思う。夢を探してみよう・・・。そうして、無くしていた自分の夢を考え探した。そして決めた。まずは、この後遺症を少しでも軽くするという「夢」を持つ事にしてみた。死に物狂いでリハビリに励んだ。
リハビリに有効と、プールに通い浮力を使って左手を動かした。目を閉じて手を動かしている様子をイメージするトレーニングもした。テレビで手話をしているのを見て、これだ!と思い手話を始めた。ろう者と手話で話が出来る様になり、ろう者と手話でコミュニケーションも取れる様になり、新しい世界を見つけた。気が付けば自然に笑うようになり、結果、麻痺していた腕も半分位の動きを取り戻す事ができた。夢っていいな…。
次に、仕事を見つける夢を持ち探した。非正規社員で給料は安いが、再就職も出来た。心配かけてしまった両親に、温泉旅行をプレゼントできるようになった。夢を持つことは素晴らしいことだ!楽しく過ごす毎日に変わり、日々の仕事をこなしながら次の夢を考えた。そして思い出した。
「社長になる」という夢。その夢に向かって仕事を頑張り、色々な不安や格闘はあったが、お金を貯めて自分の会社を作る事が出来た。ついに自分の夢がかなった!!!こんな自分でも社長になれた!夢は所詮夢、ではない。
私は、これからの未来ある若者に伝えたい!
「夢をあきらめたら自分でなくなる」。
どんな夢でもいい、最初は小さな夢で良いから夢を持ち、それに向かって進んでほしい。それが叶えば、もう少し大きな夢を持ち向かっていく。そうすれば、大きな夢でも必ず実現する。夢を持つ事で、楽しく仕事が進められ努力し実現する。夢を持つ事で、楽しく自分らしい人生を歩む事ができる。今からでも決して遅くはない。
私は、人生や仕事を通じて夢を実現させた。「夢はすぐそばにある!」