【 奨励賞 】
【テーマ:仕事から学んだこと】
最初で最後のアルバイト
留学生日本大学商学部 陳萍萍 24歳

私は飲食店で4年間ほどアルバイトをやってきました。外国人である私にとっては、初めてのアルバイトであり、まさに最後のアルバイトでもあります。最初"なんでバイトを始めたのか"と聞かれた時に"留学生活を支えるためにアルバイトを始めました"と答えましたが、働く時間が長ければ長いほど、その気持ちは段々変わってきました。

私のバイト先はほとんど日本人であり、店長は在日の韓国人です。アルバイトを始めた頃の私は流暢な日本語を一言も喋れなかったです。唯一できるのが微笑むことです。それでも、周りの仲間が嫌な顔をせず、丁寧に細やかなことまでを教えてくれました。もちろん、お客様に迷惑をかけて、落ち込む時もありました。その時に、同齢者の一言に感心させられました。"この店で一番大事なことは何だと思う?"と声をかけられて、その時の私は迷わずに、"売上ですね"と答えました。"ぶーぶー、笑顔ですよ。お客様とパートナーの笑顔が一番大事ですよ"と教えてくれました。当時の私は悟りを開きました。

そうですね。苦境に陥っても、自分が越えられなさそうな時でも、明るい笑顔を忘れるべきではないと気が付きました。一人で海を渡り、言葉の壁にぶつかって、異文化の違いを克服することも成長に大きな影響があるだろうと思いました。逆境においてこそ、笑顔で前向きに進めなければならないと思いました。

そのあともアルバイトの生活を続けました。留学生活に慣れた一方、異文化で生じた問題もまた浮かび上がりました。店長との意見の摩擦で、お店で大号泣したこともありました。辞める気持ちが何度も起きました。その時、また仲間に、"人と意見が合わない時に、妥協することではなく、ちゃんと相手の立場でものごとを考えたら、気持ちが軽くなるよ"と言われました。なるほどね。今までの私は中国式な考え方ややり方をお店に持ち込もうとしていました。その両国の文化習慣のギャップを埋めないと、留学生活もきっと大変だろうと思いました。寛容な心で、相手のことをもっと考えるべきと気づかされました。

今日本に来て4年間くらいになり、言葉や生活習慣も大分慣れました。バイト先で頂いた言葉の中で一番うれしいのは"君は中国人のイメージと全然違うね"です。必ずしもほめ言葉としてはきれいなものとは言えないけれど、自分の力で自分の国の人々のイメージを変えさせるほどうれしいことないですね。

これからもまだ長い留学生活ですが、感謝の気持ちで、笑顔で両国の架け橋になれるように頑張りたいと 思います。

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