【 努力賞 】
【テーマ:非正規雇用者として社会と職場に期待すること】
非正規雇用者として私が社会と職場に期待すること
埼玉県 吉原飛鳥 32歳

現在、私は幼稚園で非正規雇用者として働いている。主な仕事内容は担任の先生の補助である。

非正規雇用者として働くことは、小さい子どもが三人いる私にとって、自分で望み、選んだ働き方だ。朝、小学校一年生の長男を送り出し、幼稚園の年中の長女を幼稚園バスまで送り、最後に2歳の次男を保育園に送りながら、職場に向かう。その間、夜のうちに干しておいた洗濯物を外に出し、朝食とお弁当の支度をする。夕方は夕方で送り迎えと子どもたちの遊び相手で時間が過ぎる。午前九時から午後二時までの仕事のほかは家事と育児に追われる私にとって、これ以上働くのは体力的に厳しい。けれども担任の先生などはこれを毎日毎日、フルタイムで働きながら、こなしているのだから、すごいと思う。

それでも私にとって、働くことは社会につながることであり、心の均衡を保つのに大変役に立っている。専業主婦として約五年間を過ごしたが、正直いつも心苦しかった。長男が幼稚園に通い出した時には、ホッとするというよりも、毎日通う場所のある長男が羨ましくてならなかった。そして可愛いはずの子どもたちに全力で向い合えない自分が悔しかった。だからよくイライラしたし、働きに出られる夫に対して、文句を言ったこともしばしばあった。仕事のある生活が好きで、正規雇用者として働く自信はなかったものの、短い時間でも働くことで社会につながっていたかった。

実際に働いてみると、もともと短時間勤務を望んでいたこともあって、勤務時間の面では全く不満を感じていない。しかし、担任ではなく、補助の立場である私は、担任の先生ほどにクラスに対して、責任をもっていないような気がする。自分に最終的な決定潅がないために「〜先生に聞いて」と担任の先生に任せてしまっている。例え、子ども同士のトラブルが起きても、私に解決できないことは担任の先生に委ねてしまっている。もちろん子どもたちとは毎回毎回、全力で向い合っている。けれども非正規雇用者だからこその仕事ついての詰めの甘さがあることを認めざるを得ない。

職場でも私の立場はよく理解されていて、いろいろな仕事を頼まれる。何でも素直に従うことが仕事だと思つているし、実際、私はそれが嫌ではない。

しかし、いつか正規雇用者として働いてみたいという強い思いがある。40歳になるまでになるのが目標だ。自分の全てをかけて担任をもってみたいと思うし、時間給のお給料だけでなく、きちんとした保障のあるお給料をもらってみたいと思う。

最後に社会や職場に対して望むことはセカンドチャンスを与えて欲しいということだ。若者だけでなく、私のように子育てが一段落したあとに正規雇用者になることを望んでいる者にもチャンスの枠を広げてほしい。

今の私に求められていて、今の私にできること、それは40歳までに正規雇用職員になることに向けて、日々、精進することだ。担任の先生の動きを見ながら勉強し、ピアノの練習などを進める。短時間とは言え、仕事のある今の生活に感謝しつつも、自分が正規雇用者だったらということを常に自分に問いかけながら動くことを肝に銘じている。

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