【 努力賞 】
【テーマ:私の仕事・働き方を決めたきっかけ】
小さな蕾は、いつか満開となる!
山形県 サトウアツコ 28歳

自分の人生の中で、この職業だけは絶対に選ばないだろうという道に、今いる私。

小さい頃から、大変さを知っているぶん半端な気持ちでは進めないと思っていた。

その職業が美容師である。私は、美容師である祖母のように器用ではないし、何の努力もしないで勝手にできないことを前提にしていたと思います。

ところが、ある日を境に私は、美容師になりたいと思うようになりました。きっかけは衰退していく現状を目の当たりにしたこと。過疎化の進む現代に祖母が一代で築いた美容院を守りたいという気持ちが芽生えたからでした。まだまだ使える道具は、祖母が月曜日になるたび、時間をかけて掃除したりメンテナンスしたおかげでピカピカです。働く環境があるということ、どんな仕事もそうですが、道をつけるまでが大変だということを念頭に置き、資格を取るからには必ず合格すること、途中で投げださないことを祖母に約束しました。

美容学校の通信課程に入学したのが22歳の時。久しぶりに学ぶことが新鮮で、不器用でも努力すれば何でもできるだろうと信じていました。年三回あるスクーリング以外は、実技と筆記とレポート提出を遅れないように、毎日休むことなくほとんど一人で取り組みました。努力の甲斐あって、それまでできなかったことが少しずつできるようになり、わからなかったことが少しずつわかるようになってくると、おもしろみがでてきました。仲間と先生に恵まれ祖母の母校に三年間通い学べた末よううやく国家試験を受ける資格が与えられた時は、長かったようで短かかったとすら感じました。

実技試験の結果もでないまま、筆記試験を明日にひかえた前日のこと。ふと、立ち寄ったネイルサロンで気分転換に爪のお手入れをしてもらっている時、ネイリストのお姉さんに

「お仕事は、何されてるんですか?」と、聞かれて

「実は、明日に国家試験を控えた美容師見習いなんです」と、答えると

「小さな蕾は、いつか満開となる!」と、ネイリストのお姉さんが素敵な言葉をかけてくれたのです。

私には、仕事と同じくらい情熱をもって、ずっと生きる糧にしていたものがありました。

詩を書くこと・絵を描くこと・創作することが…。今日、初めて出会った人に、何の迷いもなく自分のプライベートの話までペラペラ喋っても、夢を否定されることもなく、明日頑張って!と応援されたことが嬉しかったです。

この言葉に、私は桜の花が頭に浮かびました。

大きな花ばかり咲かせようと思っていたけれど、小さな蕾をいくつもつけ続けることこそ難しくやりがいを感じます。

自信は今でもありませんが、自身のみなぎるパワーは絶えることなく、気づけば好きな仕事をしながら好きなことができている環境に感謝しています。

変わりゆく時代でも、お客様を大切にする心は変わることなく働き続けて…私がずーっと後から今をふりかえる日が来た時、たくさんつけた蕾が優しく咲いてくれる、そんな働き方を忘れないでいたいと思いました。

"小さな蕾はいつか満開となる!"

この言葉を、心で唱え咲かせよう、これからも私の挑戦は続くのだから…

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