【 努力賞 】
【テーマ:私の仕事・働き方を決めたきっかけ】
インターネットをつかった
『福祉共育』というわたしの働きかた
群馬県 福祉共育 27歳

いまのわたしは、インターネットを使った『福祉共育』ということを仕事としています。具体的にいうと、不登校やひきこもり、障がい者や高齢の方、シングルマザーやホームレスの方々の生活・就労・教育支援をすることです。主にインターネットを使って仕事をしています。年齢や性別、障がいの有無を問わず、自分のできることを、できるだけ支援することで共生社会を目指す理念を持っています。

わたしがこの仕事をするきっかけとなったのは、福祉を学ぶ大学生の頃にインターネットのゲームをしていたら一人の不登校の子供と知り合えたからでした。インターネットのゲームには、様々なものがあり、同じ時間にゲームをしている人と交流ができる機能がついているものがあります。わたしは、インターネットに詳しくないのでうまく説明できないのですが、パソコンのキーボードをカチャカチャと入力し、パソコンの先にいる人と交流ができたことに衝撃を覚えました。

不登校の子供は、ゲームのハンドルネームでシュン(仮名)とあったのでわたしはその後、彼との交流を続けることになりました。知り合ってから数日後、シュンの提案で無料通話ができるものを使って話しがしたいと提案がありました。わたしは、パソコンに詳しくないので彼から色々なことを教えて貰いながらどうにかそれをつなげることに成功しました。

その後、わたしと彼との交流が少しずつ広がっていきました。知り合ってから3か月後に、わたしは彼が不登校の子供であることを知りました。わたしは、その原因に驚きました。クラスメイトや上級生からのいじめが原因だったのです。彼は、辛くて死にたい気持ちを抑えられずに自殺未遂をしたことも話してくれました。わたしは、涙が止まらなくなりました。実をいうと、わたしも小学校や中学校の頃にいじめを体験したことがあったからです。彼の話を聞いていると、過去の自分のことを思い出しました。その後も彼との交流を続けました。

あるとき、彼からこんな話が出てきました。
「・・・あのね・・・。俺、勉強がしたいんだ。俺でもできるかな・・・」
オドオドとしている口調の中にある、学びたいという希望が伝わり、わたしは彼と共に『福祉共育』をスタートさせました。まずは、彼の学力の現状を知ることからはじめました。試行錯誤の末、彼の学力は、小学校低学年の漢字や簡単な計算問題でミスの連発をすることが分かりました。これも、後で知ったのですが、彼がいじめを受けた時期も小学校低学年だったのです。つまり、彼の学力は、いじめを受けた後からストップしているということになります。彼の家庭は、片親世帯の二人暮らし。経済的にも恵まれておらず、塾や家庭教師を利用するには限界があることも分かりました。ですから、お金を頂くことも難しいのだと思いました。でも、わたしは、一度約束をしたのでそれを守ろうと決心しました。正直なことを言うと、当時、彼に勉強を教えるのに購入した参考書や専門書の金額が10万円以上超えた頃の生活はしんどかったです。一食を抜いたり、もやしでしのいだこともありました。

彼の学力が少しずつ上がっていくことが分かると、共に喜びを分かち合えたことがとても嬉しく思えました。その嬉しさがわたしの『福祉共育』の原点にあると思います。

わたしは大学院で福祉を専攻し、修了後の今も『福祉共育』とは何かを考えながら、今日もひとり、誰かの力になれたらと思いながらパソコンに向かいながら支援活動をしています。

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