【 努力賞 】
【テーマ:世界と日本−海外の仕事から学んだこと】
使い分けるおもてなし
カタール ドーハ 今西奈津美 26歳

現在中東で客室乗務員として、アジア圏、ヨーロッパ圏、アフリカ圏、南アメリカ圏の多国籍のクルーと働いています。就職活動を始めた頃はインターナショナルな環境で働く事を夢みていました。しかし育った環境、教育が異なるクルーと英語を共通語として働くのは、想像以上に大変です。英語力は、あるに超した事はありませんが、どうやって皆ととけ込んでいき、自分が働きやすい環境を作っていくか?という点が、私の観点からは重要視できました。またその為には自分の中にある許容範囲を広げる事も大切です。何か嫌な事があっても、この国の人はいつも私を驚かせるのね!フフフと心の中で笑っておく事にしました。

日本では学生時代にサービス業をいくつかやっていました。一番勉強になったのは、行列のできるラーメン屋でのアルバイトでした。朝礼から始まり、大きな声で「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」「替え玉バリです!」「はい!」と誰かが叫ぶと皆で復唱する。どの店舗へお客として、食べに行っても同じ方針で気持ちよく、接客してもらえる。その日働くメンバーが違っても、全く同じように働ける。常にお客様を一番に考え動く。たまにしかシフトをいれない私ですら、沢山の事を学べました。それは、会社としての組織がしっかりして、さらにその店舗内の方針が、社員、アルバイト員にしっかり受け継がれていたからです。皆が同じ様に一致団結して働いていました。

今の会社では、毎回違うメンバーと異なる路線を一緒にフライトします。短いフライトは往復2時間程で終わりますが、長いフライトとなれば片道約16時間一緒に過ごす事になります。たとえ一期一会のフライトであってもその便を楽しく仕事できるかどうかは、クルーによって決まります。クルー同士が楽しそうに一緒に働いていると機内食のサービス中にもその雰囲気がお客様に伝わると思っています。日本の企業では、お客様の要望により早く答える事が第一でしたが、外資系の接客では、どのようにお客様と親しげにコミュニケーションを計るかという点が重要視されていると思います。時には、冗談を交わす事も必要です。私は、動物が好きで、よく機内でぬいぐるみを抱いているお客様に、可愛いね、持って帰ってもいい?と話かけます。すると自然に会話が弾みます。会社としての方針ももちろんありますが、やはり元元文化の違ったもの同士が一緒に働くので、皆が同じようにとはいきません。皆が個性を出しつつ尊重し合って働くスタイルが多国籍企業では、重視されると思います。

日本国内どこへ行ってもきめ細かい、接客をして頂ける日本人のおもてなしは、世界一だと私は確信しております。このような多国籍の環境であっても日本のお客様に接客する場合には、失礼のないようにしっかりおもてなししていく事を心がけています。

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