【 努力賞 】
【テーマ:世界と日本−海外の仕事から学んだこと】
世界と日本―海外の仕事から学んだこと
日本大学大学院商学研究科 何梦 24歳

光陰矢のごとし、中国から日本へ留学に来て、もう二年になりました。この二年間で、我ながら自分は成長したな、と実感しています。

日本は世界でも物価が高いことで有名です。夢を追い各国から日本に留学する学生たちは、勉強を続けるため、時間をやりくりし、アルバイトをしなければなりません。私も両親の負担を削減するため、居酒屋でアルバイトをしています。しかし、アルバイトはお金を稼ぐことだけでなく、日本人の日常生活を体験することもできます。居酒屋で働いていると、日本のサラリーマンたちや学生たちが飲み会をどういうふうにやっているのかがよく分かり、しかもその雰囲気を感じることができます。

私は日本の居酒屋でアルバイトをするなかで、二つのことを学びました。

一つ目は、他の人の立場に立って問題を考えることです。そして、他の人から言われる前にやれることを自らやる大切さを知りました。私は同年代の人と同じく、来日前は何もやったことがありません。家でも甘えん坊です。他の人の立場に立って考えることなど、ぜんぜんありませんでした。しかし、居酒屋に入ってから、私はだんだん成長してきました。世界では努力なくして、収穫をもらえることなどありません。居酒屋で働き、店長からお金をもらうには、必ず給料と同等の仕事をやるのです。店長は両親ではありません。仕事を良くやるのが当たり前で、良くやらなければ叱られるのが当たり前です。

もし、上司に認められたければ、他の人の立場に立って問題を考えるべきです。最初のころ、私の仕事は洗い場でした。皿とグラスを洗う機械がありますが、汚れのひどいものは洗えないですから、機械の中に入れる前に一回水で流し、洗剤を入れてスポンジで洗います。私の左側は皿とグラスの置く場所で、他の国のアルバイトたちは皿とグラスを下げてから空いている場所に置きます。しかし、日本の人たちは、私からちょっと遠い皿とグラスを私の近くに移動し、他のホールに置いてあるものも同じように移動してくれます。しかも、それを毎回やります。私が重いものを運んでいるとき、彼らがそれを見たら、何も言わないで手伝ってくれます。とても小さいことのようですが、とても感動しました。私もそんななか、他の人の立場に立って問題を考えるようになりました。他の人に対して温かい人になり、他の人が言う前にやれることをやるようになりました。

二つ目は、上司に対して上司としての尊敬の気持ちを持つべきだ、ということです。自分が何か間違いをやっても、あるいはやってなくても、まずは釈明する前に「はい、すみません、分かりました」で事が終わることを学びました。もしここで釈明でもすれば、上司からもっと怒られます。そしてもともと自分のせいでなくても、結果は自分のせいになり、さらにそれだけで終わらないこともあります。

同じことが起きたときに、中国人と日本人では反応がぜんぜん違うことに気づきました。中国人ならばまず釈明し、どうして自分がこういうふうにやったのか、いろいろな理由を説明するのですが、実はそのとき上司はどんな理由も聞きたくないのです。日本人と同じように「はい、すみません、分かりました」と言ったら、何とそれで終わることに驚きました。もし本当に自分のせいでないときは、仕事が終わってから、あるいは翌日に上司と相談し、経緯を説明するようにすれば、結果がまるで違います。上司の自分に対するイメージも大きく違います。こんなことを私は日本での仕事から学びました。

人生は失敗と挫折から成長するものです。仕事の些細なことでもよく見つめることが成功につながることを実感しています。いろいろな小さいことを観察することで、他の人とは異なる豊かな景色を見る楽しみが増えます。そんな楽しみを胸に秘め、できるだけ他の人に温かい人になりたいと思います。

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