短大1年目の冬私は先生に誘われ、海外に行ってみたい軽い気持ちでカンボジアのボランティアツアーに参加しました。カンボジアがどんな国かは、テレビでしか見たこともなくただ貧しい国であるということしか知りませんでした。生もの火の通っていないものを口にしてはいけない、水はもちろん飲めない衛生面もとても悪いと聞いていたため、楽しみな気持ち反面不安な気持ちでむかいました。
現地では日本語ガイドの方が迎えてくれ、まず驚いたことは本当に日本語が上手で何を言っても通じることでした。学校で勉強したの?と聞いたらガイドさんは「お金がなかったから、学校は小学校までしか行けなくて、自分で勉強してガイドの仕事で更に学んで話せるようになったよ」と言っていてテレビで聞いていたような話が本当にあるんだなと思いました。道端ではお金のない大人が子供を使って観光客にお金をもらいにいかせたり、日本ではありえない光景がたくさんありました。私がお金を渡そうとするとガイドさんは「渡しすぎたらだめだよ。その子が甘えて、もらうことを覚えて将来頑張って勉強して働くということができなくなってしまうからね」と言い、働けるということはこの国にとってとても大切なことなんだなと思いました。
ツアーでは主催の方々が学校を建てそこの生徒と遊んだり学校の先生方の話を聞きました。カンボジアではつい最近まで戦争がありそこで学力のある人たちがたくさん殺されてしまい今カンボジアでは教育者がなかなかおらず先生たちもみんな勉強しながら仕事をしています。生徒たちに将来なにになりたいか聞くと多くの子供たちが先生や医者など人を助けたりする仕事をしたいと答えました。そしてみんな勉強をたくさんして働きたいといっていました。
日本に帰ってから、カンボジアの子供たちや暖かさが忘れられず私はまたカンボジアに行くことを決めました。就活を終え8月、1人で1か月間滞在することになり始めの2〜3週間は日本語学校で日本語を毎日教えていました。生徒たちは、私よりも日本語の意味を知っていて、逆に学ぶことがとても多かったです。1人1人が日本の学生と違いなんでも疑問に思いなんでも聞き本当に積極的でした。寝ている生徒なんて1人もいません。授業が終わっても質問がたくさんありなかなかみんな帰ろうとしません。どうしてこんなに積極的に勉強しているんだろうと思い、みんなにどうしてこんなに一生懸命勉強できるのか聞いてみました。
するとみんなは「カンボジアでは、クメール語しかできない子は掃除とかしかやらせてもらえないんだよ。だからみんな、クメール語以外を一生懸命勉強して、仕事を見つけるんだよ」と言われ、この言葉がずっと忘れられませんでした。日本では、日本語だけしかできなくてもたくさんの仕事ができ、むしろ半分以上の人が日本語しかできないのではないのでしょうか。それでも仕事は掃除以外にもたくさん仕事があります。
日本は就職難といわれていますが仕事をしようと思えばすぐにできます。そして日本人の多くの人は仕事をするということにありがたみを持っていないと思います。カンボジアのみんなに出会って私はもっと働く、働けているということにありがたみを感じなければいけないのだと思いました。この世の中には、勉強したくてもできず仕事も選べない、学ばなければ仕事もできない。そんな子たちがたくさんいます。なので当たり前のように学校へ行けて就職までできた私たちは、毎日仕事が大変で嫌だと感じることも多いですが仕事ができていることに感謝し一生懸命働かなければいけないと思います。