【 努力賞 】
【テーマ:女性が輝ける働き方】
自分らしく生きるとは?
奈良女子大学文学部 一宮藍子 21歳

学生の男女比は男:女=0:1。私は通うのは女子大学である。右をみても左を見ても女子だらけ!学食では、工事現場の作業員の方や仕事で来校された男性の方々が、背中を丸め小さくなって、また心なしか申し訳なさそうに座っている。まさに女の園である!この環境は、ほとんどの女子学生にとって居心地の良いものだろう。そして、私自身を含め多くの学生が、今の過ごしやすい状況が一般的には特殊であるということを忘れているだろう。今の環境に身を置いていると、女性にとって「働きやすい」ということが正直分からなくなってくる。というのも、「女性が過ごしやすくて当たり前」な環境にすっかり慣れてしまったからだ。しかし、大学2回生になった今、そろそろ就職のことも考えねば…とテレビをつけたりネットをひらくと、決して甘くない現状が私たちを待ち受けていることを思い知らされる。

女性の働きやすさ、で思いつくものと言えば、育児休暇の取りやすさが一番に思い浮かぶが、実際それだけではない。よく出てくるシチュエーションは、子供が突然熱を出したとき。急に休みをもらったり、早めに会社を出させてほしい・・・この例が度々出てくるのは、きっと働く母親の多くが体験することだからであろう。女性が多い企業ほど、女性の声を聞いて、働きやすくするシステム作りが盛んだが、実際のところ、女性比率が高い企業は決して多くはない。その中で戦うためには、女性の"心の声"="ホンネ"を言いやすい環境を作ることが何よりも重要だと思う。私は父親の仕事の都合で、1年間ドイツで過ごしていた。ドイツでは、出産をして退職する、というのは一般的では無いらしく、年齢別でみる労働力のグラフを見てもМ字曲線にはならない、と聞いたことがある。また女性管理職の割合も、日本のおよそ3倍だそうだ。実際のところ、現在ドイツの首相は女性である。これを聞く限り、ドイツは日本と比べて格段に女性が輝ける場が多い国であるように感じられる。しかし実際は、男女の賃金格差が大きいことがいまだに解決されておらず、大きな問題となっているという。このことからも分かるように、女性が働きやすい、というのは、グラフや表で数値化して簡単に分かるものではないのだろう。先日、ある講演会で印象的な話を聞いた。子育てに奮闘しつつ働く、ある女性の話だ。その方は、夕方から行われることが慣例の会議に毎回出席しなければならず、こどもの迎えに行くことが出来なかったという。そこである時、勇気を出して上司に交渉し、会議の時間を少し早めに変えてもらえないか相談したところ、すんなりと受け入れられてもらえたそうだ。その結果、これまでは無理だった子供の迎えにも行けるようになり、状況が一変に好転した、という成功例だった。会社ぐるみで大きなことに取り組むのも非常に大事だが、それだけではなく、個人個人のつながりや女性が本音を言いやすい雰囲気づくりの重要性を感じた。働きやすさというのは、意外と小さなところから生まれるものなのかもしれない。社会制度は、徐々に変わっており、女性が活躍しやすい社会は確実に近づいている。くるみんマークを取得する企業数も年々増加し、女性が社会で活躍できる機会は大きくなっているのは確かだ。妻、母親、という役割だけに縛られるのではなく、自分自身で自らの人生を切り開ける社会づくり。私自身、そんな社会づくりに携わることを強く希望して、将来を見据えて過ごしていきたいと思う。

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