【 努力賞 】
【テーマ:私がやってみたい仕事・働き方】
私らしく働くには
日本大学商学部 twenty1 19歳

私は、日本で生まれ育ちました。日本で暮らしている他の人と同じように学校へ行き、十分な教育を受けてきました。ただ周りの人と違うと感じたことは、両親がベトナム人であり、母国語と名前がベトナム語であるということだけです。しかし、私が成長するにつれて、次第に自分のアイデンティティについて、悩むようになりました。私は日本で長期間にわたって生活してきたため、日本の文化や習慣、考え方などを多く身につけてきました。その一方で、私の中には両親から受け継がれたベトナムの意識が確かに存在しており、切っても切り離せるものではありません。自分の中に存在するこの二つの文化は、たびたび私を混乱させます。私はベトナム人なのか、日本人なのか。そんな中途半端な自分が無力であるかのように思えるときもありました。

そんな私に変わるきっかけを与えてくれたのが、通訳という仕事でした。あるきっかけで、通訳の仕事をしているベトナムの方とお話しする機会に恵まれました。その方が通訳という仕事のやりがいについて教えてくれました。私の住んでいる地域では、中国やカンボジア、ベトナムなどの外国人が多く住んでいます。そんな人たちが普通に生活するうえで、言語の障壁にぶつかることが多々あります。例えば、病院での診察や市役所での書類申請、学校における面談などのように言語に深い理解がなければ、対応することが難しいような場面に出会うことも珍しくありません。そのような状況に陥ったときに、通訳者が必要とされます。お話をしてくださったその方も多くの苦労を経て、言語を身につけ、同じような境遇にある人たちを支えたいという思いから、通訳になったのだと伺いました。

その方のお話から、多くのことを学びました。それと同時に、自分がとても小さな存在だと感じました。私は自分のことばかりに悩んでおり、実際に社会や身の回りに目を向けると、多くの人が困難に立ち向かっていることに気が付きました。だから、少しでも困難に立ち向かって人たちの助けとなる仕事がしたいです。二つの文化を持つからこそ生かせる仕事を通じて、私らしく働くことで、自分自身を受け入れられることができるのだと感じました。自分が何あるかを考えるよりも、自分に何ができ、どんな仕事がやりたいか、やりがいは何であるかを考えることで自分らしい働き方や仕事を見つけ、個人の自己形成につながると思います。そして今、私は知識を身につけるために多くのことを学び、世界で見聞を広げていきながら、将来は日本やベトナムだけでなく、世界をつなぐような仕事をし、私らしく働いていきたいです。

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