私は現在進学校に通う高校三年生だ。小学三年の頃から塾に通い、横道に逸れることなく勉強し、地元の進学校に入学した。私の母親は昔からとても教育熱心な人で、テストの点数にも厳しかった。父は大学教授で、様々な研究をし、本を出版している。当然母は私が大学に入るのは当たり前のことだと思っていた。そのために私が幼い頃から地道に大学に行くための資金を溜めていた。
私自身も、自分の未来はある程度予想できた。高校に入ってからも、一年間は何も考えずにただ勉強だけをしていた。二年生に進級した時、まず進路の事についてアンケートを書かなければならなかった。私は特に何も考えることなく「進学」に丸をつけた。
二年生になってからは「進路」について考える機会がしだいに増えていった。同じクラスの生徒の中には、すでに目漂とする大学が決まっている人もいた。そしてその人数は日に日に増えていき、私は焦りはじめた。しかし私は行きたい大学がまったく決まらなかった。決まらないどころか「なぜ大学に行かなければいけないのか」そして「自分は大学で何を学びたいのか」そんな所でつまずいていた。「回りが進学するから」とか「進学校に通っているから」という理由だけで、適当に受かった大学に行くのは間違っているのではないかと私は感じていた。実際のところ、そのような理由で「進学」を選ぶクラスメートも多かった。 そんな疑問を感じていた頃、担任の先生が「来週から課外で公務員希望者向けに授業をやるから希望者は申し出て下さい」という連絡をした。大学進学に疑問を抱いていた私は「ちょっと受けてみようかな」という軽い気持ちで「公務員の課外受けてみてもいいかな」と親に相談したところ「受けてみるたい」という案外軽い返事が返ってきたので、次の日すぐに公務員の課外授業を申し込んだ。
公務員の授業が始まると、私はその勉強内容に驚いた。「適正試験」など、まったく今までの勉強とは異なる内容だった。公務員の勉強をしていくうちに、授業が楽しくなり、独特の試験内容をさらに楽しむようになっていった。そして様々な種類の職業があることを知り、私はいつの間にか公務員をめざしていた。そして公務員になるのだと確信していた。当然そのことを親に話さずにはいられなくなった。
「公務員になりたい」私がそう言ったと時、驚いた顔をすることもなく「頑張りなさい」と言ってくれた。私の気持ちを理解してくれていたのだと思う。そのことには心から感謝した。
その日から私は公務員になるために必死に勉強をはじめた。第一志望は子供の頃から制服を見るたびに「かっこいいな」と憧れを持っていた警察官。この選択に少しも時間はかからなかった。
そして私は今、高校三年生。夢はまったく変わっていない。立派な警察官になるため、職業体験にも参加した。体験させてもらったのは鑑識の仕事。白い紙に自分の指紋をつけ黒い粉をかけると、くっきりと自分の指紋が浮かび上がる。自分の仕事に誇りを持って堂々と説明してくれる警察官はとても輝いていた。そして私もそういう人たちと仕事が出来るような意志の強い人間でありたいと思う。
敷かれたレールの上を行かず自分の夢を決めた私は確実に新たな道のスタートに立った。高卒では公務員になるというのは、とても厳しい挑戦になると思う。しかし私は自分が決めた道でスタートを切ることを決めた。自分の仕事に夢を託して・・・。
私は来年、社会人になります。