【 佳 作 】
私は美しい自然にあふれる田舎に生まれたモンゴルの遊牧民だ。トイレも無い水道もない大草原で、ゲルというモンゴルの伝統的な移住式住居に住んでいた。毎日山羊、羊や牛といった家畜の世話をし、普通の遊牧民の子供たちと同じような生活を送っていた。日本で言えばまるで吉幾三さんが歌う「テレビも無ェ、ラジオも無ェ、自動車はそれほど走って無ェ、朝起きて牛連れて2時間ちょっとの散歩道」という曲の歌詞のような生活をしていたのだ。そんな遊牧民の生活を送ってきた私の夢はモンゴルの建築分野に大きく貢献することだ。
現在のモンゴルには、社会主義時代のロシアによる建物が多く存在している。建物のほとんどが同じデザインで、ここ数年、老朽化により、壁がはげてしまったり、柱がもろくなったりして非常に危険な建物も増えつつある。もし、大きな地震が起きれば建物のほとんどが倒れてしまい、たくさんの人々が大きな被害を受けてしまう恐ろしい状態にある。そのため、現在のモンゴルでは、安全な建物を作る技術と、その技術を使える人が一番求められているのだ。
また、グローバル化された現代社会においては、人々はゲルに住むことがとても不便である。ゲルにはシャワーやトイレなどの設備がなく日常生活で大変困ることが多い。また、ゲルは冬の季節、石炭や木などを燃やして温めているので、その排煙はウランバートル市の大気汚染の一番の原因となっている。去年の調査によると、ウランバートル市の大気汚染状況が国際環境基準の3倍にもなっているという酷い結果が発表された。これは我が国にとって深刻な問題である。
だから、私はこれらの問題を解決できる人材になるために、建築を学び、建築の仕事を選んだ。私は五年前、日本に来た。建築分野において日本の建築は世界でトップレベルにあることが日本に来て、日本の建築技術を学ぶ大きなきっかけとなった。
美しい高層ビルが空をさえぎるかのように、街のあらゆるところに建っている東京の超高層ビル群にいつも驚くのだ。私は日本に来るまで地震というものを体験したことがなかったが、来日してから地震を何回も体験し恐さを感じた。地震が多いにもかかわらず、つぶれるビルなどがほとんどない日本の建築の素晴らしさに感動するのだ。
私は新潟大学で4年間建築を勉強し、今年の4月から日本の本間組という建設会社で勤め始めた。
私は夢の仕事に就いている。それは一体どういう意味だろう?私は、毎日仕事に行くことを楽しみにしている仕事に就いている。私が愛している仕事だ。私が秀でている仕事だ。私が生きたいように生きられるだけの幸せを感じさせてくれる仕事だ。一言で言えば、建築の仕事というものに私が望むあらゆるものをもたらしてくれ、私の人生をあらゆる意味で高めてくれる仕事に就いている。今、私がいつもやりたかった仕事が目に前にあり、夢の仕事をしている。私は自分の夢を持つこつことで、毎日イキイキとした生活を送ることができている。
私は将来、モンゴルに帰った後、日本で学んだ知識を生かし、人々が長年にわたって安心して住める建物を、一つでも多く建て、モンゴルの発展に貢献したい。いつか、自分の夢を実現することができたら、私が最初に覚えた日本語である「万歳」という言葉を大きい声で「バンザイー」と叫びたい。。。
自分の夢に向かって一日一日一所懸命頑張りたい。