【 努力賞 】
【テーマ:仕事・職場から学んだこと】
働くとは?仕事から学んだコト
長野県 古畑正文 69歳

病弱な両親に大切に育てられた一人っ子の私、しかし、生活は苦しく、中学生となると同時に「多少は家計を助けることが出来る」と考え、一念発起し、新聞配達を始めた。初めて新聞の販売店を訪ねたとき、ほとんどが新聞少年で、明るく元気で、「明日から頼むぞー」と、声をかけていただいた。起床4時、組み込んで配達。時には駅までリヤカーでとりに行った事もあったが、帰宅は6時。睡魔との戦いでもあり、風雨、寒さや降雪との戦いでもあり、辞めたくなるほど辛い時もあったが、仲間に励まされ、三年間つづけることが出来、達成感を感じることが出来た。今おもえば"仕事"の本質を教えていただいたように感じる。「読者、新聞を楽しみにしている人の気持ちになって配れ!」と、親爺さんの口ぐせ「濡さず・汚さず・決めた時間に・決めた場所に配るコト」に心がけた。寒い朝「ご苦労様」と温かいお茶を出してくれ声がけをしてくれた方、お菓子や果物を手渡ししてくれた伯母さん、生活の為の賃金労働として始めたのに「次の人の為」「ありがとうの心を体で表現」する大切さを体で覚えた。感謝!

学業を終えたら、働きに出るのは当然の世の中であり、私は夜間高校に進学。労学一体の道を選んだ。新聞配達で自分が一廻り強く大きくなった自信をもてたからである、朝は6時から仕事。職場に始業10分前には着いて準備を済ませる、次の人には、「正確な情報の提供をする義務」「決められた品質を決められた方法で決められた時間で」が鉄則。むろん現代のようなマニュアルはなく、先輩の教えてくれることをメモし、見様見真似で覚えたものである。起床5時。8時間働いて、夜5時30分登校。4時間授業で9時20分。 クラブ活動や生徒会活動をして帰宅は11時近く。仲間と仲良く競い合ったから四年間精勤で卒業。忙しい生活の中で身についたのは時間「時間に追われるな!時間を追う生活を心がけろ」がクラス担任の先生であり職場の先輩だった。「若いときの苦労は金を出してもやれ!」そんな言葉にあと押しされていたかも・・・

生活リズムが確立されると自分の可能性を試したくなる。更に自分を追求し、弱点の克服に目が向いて来るものであり、職業訓練校や能力開発講座の受講。資格取得へと進みつつ、仲間づくり、趣味の拡大につながって行く、人との係わりがポイントであることに気がついた。自立心と気働きがそのひとつ「指示まち人間になってはならぬ」「心が動けば体は動く」尊敬する先輩の言葉だった。

自分に合った仕事は楽しい。職場でもNo.3の地位に立つことが出来たが、人は支え合っている。後輩に道をゆずるトキを考え、65才で現役を退いて、職業人にサヨウナラした。

こんな人生を生きてきて働くこととは?仕事から何を学んだのか?改めて考える機会をいただいたが、こんな風におもっている。働くとは?人が動くと書く。心が動いて精神が活動し、体が連動、精を出して仕事をすることと定義づけできる。周りの人への心くばり、気使いがあれば、人間としての最低条件である「人に迷惑をかけない」ことになる。

仕事とは?自分の生活を確立するための手段であり、人間力を高め、人を育てるものである。知識は学校で教えてくれるが、知恵は苦しんで、考えて、動いて、自分をつくりあげるもの。強さが加わり、更なる目標や夢に向上心が育ってくる、人生は死ぬまで挑戦。時に休むことは大切だが、逃げたら負けだ。

○○させていただいているという気持ちは働くこと、仕事をしていること全てにあてはまる言葉。人は謙虚さと、考えて行動する姿勢、挑戦力、克服力にとつながっている。人生70年を迎えてこんな風に考えている。

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