【 努 力 賞 】
5年後に、どうしてもなっていたい職業がある。
作家である。
物語を考えるのが子供の頃から好きだった。何もないところから、新しい世界を自分で作り出すことができる遊びに夢中になっていた。自由帳に書いた小説もどきの作品を、友達に見せて楽しんでいた。
大人になってからいくつかの文学賞に投稿したが、なかなか良い結果はもらえない。しかし、続けているうちに、少しずつだが物語を創り出すコツが分かってきた。
作家になりたい理由は、少し前までは自分のことばかりだった。
毎日楽しい物語を考えることができる、朝寝坊ができる、有名になって周りの人にチヤホヤされる、上司がいなくて好き勝手にできる、モテる、お金持ちになれる、好きな場所で仕事ができる、などなど…。
もちろんそういう理由もあるが、今は、作家になって周りの人に与える影響を考えるようになった。
最近、投稿したショートショートが二回入選になり、文芸誌に掲載された。その雑誌を読んでいる何千人という人が、僕の文章を読んでくれたと思うと、とても興奮した。
その中には、楽しんでくれた人もきっといると思う。作家になれば、より多くの人に自分の書いた文章を読んで楽しんでもらうことができる。
作家になるためには、本をもっと好きになり、物語をもっと好きになり、文章を書くのをもっと好きになり、人を楽しませたり喜ばせたりすることをもっと好きになる必要があるだろう。
一冊の本が、人の人生を変えることもある。
僕はいつか、そんな本を書きたい。
作家は、多くの人を楽しませることのできるとても素敵な職業だ。世の中を変えることだってできるかもしれない。
もちろん、作家にも素敵なことだけではなく、大変なこともたくさんあるだろう。アイデアが全然浮ばないことや、読者からの批判がくることもあるかもしれない。
それでも、人を喜ばせることができて、自分も楽しめる作家という職業に、僕はなんとしてでもなりたい。
だから僕は、5年後に(できればもっと早く)作家になっていたい。
その日に向けて、毎日頑張っている。