【 努 力 賞 】

【テーマ:仕事から学んだこと】
私が選んだ仕事
島根県 赤塚 悠一郎 26歳

私は、進路を決める時『大学へ行ってまで勉強なんてしたくないなぁ』と考え、進学ではなく、就職を選びました。そこで、以前より興味があった電気工事の会社を選び、現場代理人職として採用となりました。

私の勤務する会社では現場代理人職であっても、入社して半年は現場施工職として配属され、電気工事の実務について基礎を学びます。『勉強したくないから就職を選んだのに』と考えることもありましたが、入社してから半年は、見るもの、出会う人、教わることが楽しく、日に日に仕事が好きになり、もっともっと電気工事の知識を増やしたいと思うようになりました。

現場での半年はあっという間に過ぎ、現場管理職へ業務移行する時期となりました。その頃の私は、大工さんや、お客様とイキイキと話す先輩達に強い憧れをもち、このまま現場にいたい!と感じており悶々としておりました。というのも、現場施工職と違い、私が携わる現場管理職とは『図面を描いて、予算書を作って……』と間接的に現場にかかわるようなイメージが強くあったためです。

そんな気持ちをある現場管理の先輩に相談しました。そうすると『現場管理の仕事ってなんだと思うの?』と言われ、私は『図面を描いて、予算書を作って……』と答えると先輩は『君が描いた図面が建物として何年も何十年も残るんだよ。それって凄くかっこいいじゃん。君の図面次第で間違った建物になるかもしれないから凄く大変だけどね』と、とても誇らしそうに言われました。その言葉がとても胸に熱く響き、前向きに頑張るきっかけとなりました。そして、この人みたいになりたいと思うようになりました。

現場管理として任された最初の現場は商業店舗でした。右も左もまったくわからず、苦闘の日々でした。ようやく竣工を迎えようとするある日、現場施工の担当者から急に電話が入りました。『もらった図面どおりに配線してあるけど、機械が動かないところがある。どういうこと!?』

すぐさま現場に行き、二人で図面を確認しながら現場をチェックすると、図面どおり工事は完了していました。何が間違っているか解からず上司に助けを求めると、結局私の設計ミスでした。それから、なんとか工事をやりなおし、ぎりぎりで竣工に間に合わせることが出来ました。その後、上司から『図面のチェック・修正するのは数分、工事を直すのは何日もかかる、最悪は最初からやりなおさないといけないんだ。これからはチェックを怠らないように』と言われました。その時改めて自分の仕事の責任の重さを感じる事となりました。私の確認ミスでどれほど会社・協力会社の方々に迷惑をかけ、損失を与えるか改めて認識する出来事となりました。振り返ってみれば、協力会社の方々や、上司・先輩の助けがありなんとか完成した現場でした。自分一人の力ではとうてい無理だったと思います。先輩の言葉通りとても大変で、プレッシャーのかかる仕事でしたが、現場が完成した時の達成感と、胸にあふれたちょっとした誇りは今までに感じた事のないものでした。この仕事を選んでよかったと深く感じたのをおぼえています。

それから私も新入社員から中堅社員となり、気がつけばあの時の先輩と同じ年齢となりました。担当した現場も少しずつ増えてきました。私の携わった建物の前を通る事もあります。その建物を利用する人や働く人の笑顔を見るたびに、自分の中でやる気と少しの誇りが出てきます。これからも、より多くの笑顔と出会うために、あの時の先輩の誇らしい顔を追い越すために、会社と共に成長していきたいと思います。

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