【 努 力 賞 】
私は電気工事の仕事に就きたいと思い電気工事会社に就職しました。ところが入社前説明会での配属先発表の時、配属先が電気工事を行なう部署ではなく、計装という初めて耳にする仕事を行なう部署だと知りました。それを聞いた時、電気工事の仕事ではないのかと少しショックを受けました。しかし今の時代、行きたい会社に就職すること自体が困難な時代です。やりたいことが多少違っても、目指す会社に就職出来たことに感謝をし、前向きに頑張っていこうと自分に言い聞かせました。
入社して半年が経った頃、仕事の内容が思っていたよりも難しく、自分にこの仕事が理解できるだろうか、と不安になりました。計装の仕事は自動制御が理解出来なければなりません。先輩に現場で教えていただいたり、自分でも本を読んで勉強をしましたが、奥が深く、自動制御がなかなか理解出来ませんでした。最初は機器の点検方法を覚えることで精一杯で、その機器が自動制御にどう影響をしているかまで、なかなか理解をすることが出来ませんでした。おまけに覚えも悪く、よく叱られていました。分野が違うとはいえ、同期がどんどん成長しているのに、自分はなかなか進歩が見られない。そんな状況に焦りを感じていました。
ある日先輩から「計装の仕事は理解するのに時間がかかる」と言われ、焦って勉強をしたところですぐに理解はできないものなのだと、その言葉で私はすっかり安心をしてしまいました。それからしばらくは勉強をする意欲が入社当時より薄れてしまいました。もともとシーケンス制御が嫌いな私は自動制御の勉強が苦痛でした。焦って勉強をする必要がない理由が見つかり、私はすっかり怠けてしまいました。
二年目になり、初めて新築現場の自動制御の調整をしました。しかし私は先輩がやっていることも制御の内容も理解出来ず、何の役にも立ちませんでした。指示されたことをして、先輩に付いて回るだけでした。ものすごく悔しかったです。自分が情けなかったです。そこで気が付きました。早く仕事が出来るようになりたいなら、一生懸命勉強をしなければならないと。同期がどんどん成長をしていく中で、自分の仕事の内容はすぐには理解できないものだからと考えていた自分が恥ずかしくなりました。のんびりしていたら理解するのにますます時間がかかる。私はその時に決意しました。もう一度初心に戻って頑張ろうと。
そして三年目の今、以前より知識・技術は向上したと思います。ですが、先輩が三年目に出来ていたことが自分には出来ない部分があります。遅れをとった分、ここからしっかりと頑張っていきたいと思います。
私がこの仕事を通して学んだこと、それは「受け入れること」です。嫌いな分野の仕事、難しくて嫌になる勉強、それらを自分の中で受け入れた時、不思議に嫌だと感じなくなりました。「人間万事塞翁が馬=なるようにしかならない」、入社して最初の研修で社長がおっしゃっていました。まさにその通りだと思います。あがいたってどうにもなりません。なるようにしかならないなら、そこで出来ることを一生懸命頑張るべきです。実際、嫌いな分野の仕事でしたが、今はやりがいがでてきました。それは続けてきたからそう思えたのだと思います。
最近は、自分に合わないからと早くに辞める人がいますが、続ける努力をしなかった人が大半だと思います。私も何度もつまらないから辞めたいと思いました。ですが、続けることによってやりがいを見出せました。何事においても「続けること」が重要です。
これから先私は、仕事から学んだ「受け入れること」と「続けること」を胸に刻み、頑張って仕事をしていきたいと思います。