【 佳 作 】

【テーマ:非正規雇用者として】
職場の先輩方へ期待すること
沖縄県 匿名希望 27歳

全国の「非正規労働者」は、2007年に比べ152万人増。沖縄は最も高く23万7500人。正規雇用への就職活動を続けるものの、正規の採用枠に入れない私たち若者。正規雇用者としてばりばり活躍している先輩方はそんな私たちのことをどう思うのか。怖いが聞いてみたい。

私は大学を卒業して約4年間、非正規雇用者として働いた。もちろん正規雇用を目指しながらだ。登録制の派遣というスタイルであったが、雇用の話がいつどの期間で来るかわからない。雇用側次第だ。通年の仕事をいただけたこともあったし、1ヶ月だけという場合もあった。1年間仕事のないこともあった。解雇日の直前になって、来月もお願いしたいと言われ延長したこともあった。引っ越しの必要な遠方に、6月は勤務、7月は解雇、8月は勤務ということもあった。勤務先もばらばらだった。

仕事のない時期、社会保険関係の納入の催促には心が痛む。早く正規の枠に入らなければ。年齢と時間の経過。親からのプレッシャー。社会の目線、同級生の就職、自身の人生設計。努力不足か、能力不足か。自分がしたいことと自分にできること。メディアをにぎわす「就職氷河期」という文句。色々な文言や思いが頭をかけめぐる。今思えばこの4年間、必死だった。生活場所を変え、生活リズムを変え。私の意志で毎度の仕事を受けているのだから不満を言える立場にはないのだが、正直、苦しかった。自信を失ったり、やるせなさに苛立ったりする4年間だった。心が狭くなり、恋も失った。しかし、なりたい職業への正規雇用という夢は捨てたくなかった。

「非正規雇用」は、雇う側からすると大変都合がよい。労働コストの削減。会社は社会保険料の事業主負担を支払う義務がない。繁忙期だけの契約。解雇が簡単。

そんな非正規雇用の立場から私が職場に願うことは、待遇や制度的な要求ではない。職場の方々に、今の私たちの立場を知ってほしいということだ。私たちは「都合の良い契約」だとわかりながらも、それでもこれを選ぶしかないのだということを。常に不安や焦りを持っている。夢をあきらめそうになる。こうした思いが常に頭を巡りながら出勤しているということを知ってくれるだけでよい。

浮き足立つ将来に、前向きな意見も少し。私は今の世の中に生まれてよかったと思っている。食も、物も、教育、メディア、自然、人の心、社会制度、実に恵まれた社会だと思っている。先人たちの積み上げてきたこの日本社会の恩恵に、大変感謝している。どんな人間でも、等しく努力をしたいだけすることができる世の中に文句があるだろうか。なので昨今の就職難を不幸だとは思っていない。私たち若者は、現状を受け入れ、努力をしながらも、チャラチャラしていながらも、働くということに関しては、癌のように焦りと不安を常に持っているということをわかっていただけたらと思う。

願わくはもう一つ職場に期待したいことは、先輩方からアドバイスがほしいということだ。雇用における不安と紙一重な中、どういう気持ちで仕事に向かえばよいかを教えてほしい。私たちが正規雇用への努力をあきらめそうになったとき、どう意欲を持続したらよいのか。先輩方がやってきた就職活動、若い頃に抱いた悩みや不安を教えてほしい。人生を歩むうえで大切なこと、仕事の大切さ、進路選択の仕方。恋愛と仕事について、仕事と結婚について。そんな話をたくさん聞かせてほしい。先輩方も、色々なことに悩み苦しみ戦ってきて今があるのだと思う。人生の歩み方を聞かせてほしい。社会制度や雇用制度がどうであろうと、先輩方が下の世代へ指針をくださり、選択肢をくださり、大切なものを教え、導く光が必要だ。

しかし、先輩方が私たちを哀れに思っているのではという一抹の引け目と、先輩方の日々忙しい姿を見、今日も「飲みに連れて行ってください」というセリフを胸にしまう。

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