【 入 選 】

【テーマ:○○年後の自分に宛てた手紙】
2013年夏、この思い、伝えたい
東京都 水谷 幸資

大学院1年生である2013年の7月、私は世界が平和で健康長寿な社会になることを切望しています。そのために自分には何ができるのだろうか、と、日々考えています。10年後の私は、目的に向かって邁進できていますか。

私が早老症という難病を知ったのは、高校生の時でした。健康長寿や不老不死を真剣に考えていた私にとって、偶然見たテレビから流れてくる情報は衝撃的でした。細胞の変異で不老とは真逆の早老という現象が起きてしまうのです。細胞や遺伝子への驚異を感じながらも、細胞の変異を正常にできれば様々な疾病を治癒へと導くことができるのではないか、微力であっても次世代への橋渡しをする研究をしたい、そんな思いが芽生え始め、細胞への興味・関心が急速に増していきました。自分のために夢見ていた不老不死や健康長寿が、いつしか、みんなのための研究、難病疾患治癒のための研究へと意識が大きく変わっていきました。個から世界へと目覚め、一人の幸せから社会全体の幸せ、そして、平和な世界を築くために社会貢献したいと考えるようになっていました。

世界では、iPS細胞の研究をはじめ、様々な細胞の研究が行われています。 私は今、細胞制御医科学研究室にて学んでいます。細胞の研究は、無限の可能性を秘めていますが、その道のりもまた無限です。気の遠くなるような1つ1つの地道な研究にやっと少し開花の兆しが見えたかと思うと、また新たな課題が生じてきます。日々切磋琢磨しながら、様々な可能性を信じ、それぞれの研究を一歩一歩進めています。世界中の研究者による多種多様な1つ1つの研究の成果の共有や様々な連携によって、さらに大きく前進していくことができるようになるのだと思います。乗り越えなければならない幾つもの壁が生じても、壁の向こうに待っている‘世界の人々のために’道を切り開いていきたいです。

世界中の人々が幸福で平和な社会を共有するための道のりは想像以上に険しいことでしょう。今は、細胞の面からの人々の幸福や世界平和を見ていますが、実際には衣食住をはじめ、もっともっと多角的・多面的・広角的に視野を広げ、思考していかなければなりません。一人で道を切り開くのは困難です。どの分野にも共通していえることは、たくさんの人々の知識と知恵の共有や協力、莫大な時間や資金が必要だということです。例え目的が1つであっても、考え方が偏らないように色々なジャンルの人々がその現場には居ていいと思うのです。たくさんの人々で広角的に物事を考え判断し、決して既成概念にとらわれないことが大切であると考えています。

時には、鋭いひらめきも必要です。多種多様な考えや個々の能力を上手く引き出せるかどうかが非常に重要になってきます。リーダーシップをいかに取るかということです。意見を自由にいえる空間や、個々の能力を最大限に活かす様に働きかけることも大切です。リーダーも必要ですが、書記もアシスタントも必要です。個々の役割を把握し、それぞれが様々な局面において、効率よく能力を発揮することができれば、道は大きく開けていくと考えています。

アピールするプレゼン力も大切でしょう。国籍にとらわれず、世界中の一人一人が個の能力を発揮しあい、認め合い、歩み寄りあれば、きっと世界中の平和に少しずつ近づいていけると確信しています。私は研究のみならず、色々な学びや出会いの全てを通して培った様々なことを活かしながら、世界の平和や人々の幸福のために様々な働きかけをしていきたいと考えています。自分自身に存在している無限大の可能性を最大限引き出すことができる道をしっかり歩んでいきたいです。10年後の私は、生きがいを感じながら働き、社会貢献に通じる一歩をきっと踏み出していることを信じて、今日も研究に励んでいます。

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