【 努 力 賞 】

【テーマ:非正規雇用者として】
正当な権利と平等な扱いを!
山口県 清里 45歳

持病を抱えていた私は、卒業後は病気を隠して就職した。しかし、ムリな生活は長続きはせず、リタイアを余儀なくされた。新人だったし、仕事は人一倍したつもりだったが、中途での辞職は職場の人に大変迷惑をかけることになった。

その後、しばらく入院生活を送った私は、体調は持ち直したが、なかなか検査結果が改善せず、家で療養生活を送ることになった。が、勤労意欲があるのに仕事をせずに家にいる状態は非常につらい。しかし、共に仕事を持っていた両親は、「前みたいなことになったら、職場に迷惑をかけるから倒れる不安があるうちは職につくな」と言う。そう言われると返す言葉もなく、私は家事をしながら悶々と生活をし、結局は非正規雇用者として勤めることにした。バイトやパートなら仮に急に体調を崩すことがあっても、カバーがきくだろうと考えたのだ。

だが、そうやってついた職場の現状は厳しいものがあった。まず、非正規雇用者は正社員より過酷な労働を強いられる、我々はこまごました雑用に加えて正社員と同じ業務も行わなければならなかった。正社員が暇そうにしていても、我々にはゆっくりする時間などない。これは、遊んでいても給料が支払われる正社員と、働きによってはクビという我々の立場の違いから、必然的にそうなってしまうわけで、私は何度も「これやって」と正社員から、本来その人がすべき仕事を押しつけられた。それでも、ミスの責任を正社員が取ってくれるならまだよいが、それはあくまでこちらのミスなのである。心ない人だと、自分のミスをこちらのミスとして大声で騒ぎ立てたりもするし、これで給料が倍以上違うのは本当に割に合わない話だ、と私は思った。しかし、そういう不満に対して、これらの問題は非正規雇用者同士でしか言い合うことができない。下手に訴えてクビになったら、それでおしまいだからである。

雇用側はあくまで正規雇用者の味方で、それは正規雇用者からは正当な権利として訴えられる労働条件が、非正規雇用者からは訴えられることがほとんどないことに起因していると思われる。ある職場では、パートは30分前に職場について仕事の準備をするのが慣例になっていた。その30分はサービスで賃金は出ない。本来正社員が早めに出勤してすべきことを、我々がただ働きで行っていたのだ。私自身の体験や聞いた話しのみで書いているので、一方的な見解になっているかもしれないが、「下を見て暮らせ」という封建的な実態がそこにはある気がする。それはおかしい、といってくれる正社員はおらず、我々もまた、クビを避けるためその理不尽な状況に耐えるしかなかった。

私が社会に期待することは、自分個人のことを言わせてもらえば、病気を持つ者への就職支援と、あと、非正規雇用者に対する正しい理解と偏見の是正である。非正規雇用者は本来、正規雇用者とは区別されるべきなのである。報酬の格差だって歴然としている。しかし、仕事内容は両者同じか、ともすれば非正規雇用者の方が働かされているのが現状である。その実態を社会が知って、改善の方向に持っていってほしい。職場にしても、正社員の仕事と非正規雇用者の仕事を明文化してくれるとありがたい。基本がないから、面倒な仕事が非正規社員に回ってくるのだと思う。

できたら、就職弱者や非正規雇用者が引け目を感じることなく正当に働くことができる社会を! そしてこれからの日本を背負ってたつ若い人たちには真の平等、そして優しさについても考える思慮深さと思いやりをもっていただきたい。自分たちに関係ないこと、不利なことからは人間目をそらしがちだが、現在雇用側、正規雇用者の方も、どうか、一歩踏み出して非正規雇用者の真の権利、平等について考えてみてほしい。

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