【 努 力 賞 】

【テーマ:働くって何だろう】
あるもので進む
栃木県 リトル みぃ 40歳

仕事でたくさんの人に会います。そのなかでいつも私は反省することがあります。 いつも行く関西でお世話になっているおばあちゃんがいます。おばあちゃんは今年86歳です。一人でラーメンとお好み焼き、焼きそばのお店を営んでいます。年季がはいったお店ですがお店にはおばあちゃんに会いにたくさんの常連さんが全国から来ます。おばあちゃんいわく
「この暑いのにエアコンもないし、駐車場も交通も不便なのにこうして来てくれるのはありがたい」と小さな体に満面の笑みでみんなを迎えます。

おばあちゃんのお店は昼時が11時30分から15時まで。夜が17時30分から次の日の3時までです。お客さんが食べていれば4時まではザラです。

おばあちゃん、一人で朝の仕込みも掃除もするのにいつ寝るの?ちゃんと寝ているの?と誰もが思います。しかし、おばあちゃん
「朝方、3時間。たまに4時間。昼が終わって夜との間に一時間くらいお昼寝しているから大丈夫」とお好みのキャベツを切りながら答えます。長年の開店以来お休みなし。足が悪く入院して復帰してから一カ月に一回昼時に通院のために休むのみ。おばあちゃんに会いに来た人ががっかりしないようにいつでものれんを出していたいのだそうだ。どんなにお店が暑くとも窓を全開にして扇風機で風通しを良くしてみんなを待っていてくれるおばあちゃん。お店に5人以上来ると回しきれなくて
「体が持ちません。ごめんね。また来てね」
としんどそうにヘラで焼きそば焼きながら謝るおばあちゃん。そんなおばあちゃんの頑張りに周りの人もお客さんもまた来ようと思う。

おばあちゃんのお店にあるお皿や着火マン、花瓶のお花にBOXテッシュはみんなお客さんやご近所の人たちが持ち寄った物やプレゼントしたもの。近所の酒屋のおじさんは足の悪いおばあちゃんのためにちょくちょく御用聞きに来る。

そんなおばあちゃんや周りの人を見ているとダラダラ毎日を過ごし、自分の事もちゃんとやらないで他人を羨んだり嫉妬したりしている自分が恥ずかしくなり、情けなくさえ思えてくる。

お店の周りに会社や住宅が少なくなり、その代わりにコンビニやスーパーが出来てお客さんが減るなかで人は雇えないと一人で仕込み、料理、配膳その他をやってきたおばあちゃん。

頭が下がるとともに自分は自分に出来ることをちゃんとやっているのだろうか、おばあちゃんに比べたら半分くらいしか生きてないのに半分もいかないくらいしか一日を無駄に過ごしているのではないかといつも思う。こんなにやっているのに周りが見てくれない、認めてくれないと不平不満ばかり言う自分にただただ反省するばかりだ。

おばあちゃんの周りの人を見てもお金では助けられないから力仕事でお店の戸を直したり、美容師をやっているから髪をカットしてあげたり、お花をやっているからお花を生けに来たり、自分もお店をやっているから常連さんをおばあちゃんのお店に紹介したり、パチンコで儲かったから景品の着火マン持ってきたり。

みんな自分にあるもので精一杯に働き生きている。
無い物ねだり、高望、羨望、嫉妬、見栄といったもので人はついてこないということを教えてくれる。
仕事でも一生懸命な人、素直な人、前向きな人には誰もが応援したくなる。そういう人と一緒に仕事をしたいと思う。私もたくさんの人と会う仕事をしていることに感謝し、これからも素敵な人の生き方を学ばせてもらいたい。

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