経験を積むという言葉は、単に学歴や職歴若しくは「こんな資格」を持っていることとは限らない。それは人生にとって大切な経験の一つであろうが私はそれだけで本当に「経験が豊かである」とは思えないのである。
私は世に言う高学歴でも無ければ、自慢のできる資格を持参しているわけではない。周りが羨ましがる大企業に勤めているわけでもなく、ごく平凡に毎日を生きている。そんな私には一つだけ胸を張って自慢できる経験がある。それは20代半ばにして日本全国を周ったことだろう。旅行という趣味が講じて日本のあらゆる場所を訪れ、史跡や景観はもちろんその土地ならではの経験をしたものだ。その経験は故に、日本がどのように形成されていったのか、歴史があり今に至る、教科書では教えてくれないロマンを感じることができ、更には自分形成にも深くピントが結び付くものである。
私は敢えて言いたい。旅も仕事の一つだと。景観を楽しむ、美味い物に出会う、それだけが旅ではない。視野が広がり、やがては人生のアイディアが浮かぶものだ。それは自分の生活や仕事にも必ずや繋がってくる。仕事で失敗した時、行き詰まった時に大きく深呼吸するといい。あの時見た圧巻の大自然が、古から伝わる史跡がきっと、勇気づけてくれるだろう。
仕事とは、自分の旅である。自分の旅のコースに仕事というものがあるのだと感じるのだ。ずっと同じ仕事を淡々と熟すことはとても安易なことではない。だからこそ、いかに自分がどうステップアップしていくか、仕事とどんな風に付き合っていくべきなのか。そのヒントはきっと自分の旅とリンクしているのではないだろうか。
自分の仕事に満足しているだろうか。仕事に行き詰まっていないだろうか、時として自分には今の仕事が合っているのだろうか。自分の棚卸しをする前に、旅をして見つめ直すことをお奨めしたい。少なくとも私はそうして自分なりの階段を登っている。
私の夢は、次は世界に向けている。世界のあらゆる場所を訪れ、あらゆる人種の方と出逢い、自分自身を見つめていきたい。きっと自分の仕事、そして人生の旅はもっと「自分らしさ」に華を添えられるものに違いない。