【佳作】
【テーマ:私を変えたきっかけ】
私を変えたきっかけ
静岡県立磐田農業高校  青島 17歳

今までの私は、「働く」という言葉を聞くと、胸にモヤモヤとした嫌な感情がたまった。つまり、日本国民の義務である勤労という行為に嫌気を感じていた。「働かなければ金が手に入らない、生活もできない」そう言われてしまったら返す言葉も無いが、それでも毎日誰かに頭を下げ、楽しくもないのに笑みを浮かべ仕事をするということは、苦行でしかないだろうと、私は仕事をして疲れた母親の背中を見ながら考えた。

しかし、高校に入学して半年が経った頃、私は母親に「バイトしなさいよ」と言われてアルバイトを始めることにした。心底嫌だった。貴重な休日を働くことが埋めるのは、私にとって苦痛でしかなかった。そんな最悪な気分で始めたアルバイトの内容は、簡単に説明すればイベント会社のスタッフであった。サッカーの試合のスタッフが主で、1回につき7時間労働。ずっと立ったまま、スタジアムに入ってくるお客様にあいさつをしたり、ゴミを拾って集めたりする仕事があった。もちろん、間に休憩は挟まれるのだが立ったまま5時間も6時間もお客様にあいさつをするというのは疲れるもので、途中から気の抜けたあいさつになってしまうこともあった。しかし、試合終了後、スタジアムから出て行くお客様に「お疲れ様。今日もありがとう」と言われた瞬間に私の疲れは一気にどこかへ飛んでいった。そして、それと同時に働くということに楽しさと嬉しさを感じるようになった。働くということは誰かのためになること、そして感謝されること、という考えを持つことが徐々にできるようになり、私は働くということに嫌気を感じなくなっていった。それからのアルバイトは、楽しく真面目に取り組むようになり、注意されたことでも、これから働き、生きていくうえで重要な知識と前向きに考えるようになった。

以前は働くことに対して嫌気を感じていた私であったが、このことをきっかけに、働くということについての考えを改めることができた。働くとは、自分のお金を手に入れるためだけに仕事をするのではなく、自分自身を成長させ、誰かのために仕事をすることなのである。考えれば、私の母も私のために働いてくれている。精一杯感謝しなければならない。

社会には以前の私のように、働くことに対して嫌気を感じている人もいるだろう。しかし、働くということは、自分を向上させるためにも大切なことで、苦しい仕事の中にも誰かのためになっているという喜びを感じることができる。働くことに嫌気を感じている人はそのことを胸において、一度働くということについて考えてみてはどうだろうか。

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