【佳作】
【テーマ:○年後への夢、そして仕事とは】
全力になれる生きがいを
愛知県立常滑高校1年  メンドーサ 理沙子 16歳

仕事、という単語を思い浮かべた。そこで連想したイメージは“生きがい”だった。

私の祖母も母も、仕事に生きるキャリアウーマンだ。祖母に至っては、同じ職場で32年間働き、主任をつとめたくらいだ。その主任というのも、やすやすとなれるものでなく、600人の従業員の中のたった25人が選定される激戦枠。祖母は中卒、周りは高学歴のデキる人揃いだったという。祖母の努力は並でなかったことだろう。

現在も、スーパーのなかにある寿司屋のデリカで祖母は働いている。69歳、愛想のよさと32年のキャリアが生きる仕事っぷりから、職場の人に慕われている。

一方母は、印刷会社の社員である。男性社員顔負けの、素晴らしい仕事ぶりで信頼が厚い。複雑で困難な仕事を、一人任されるほどだ。手先が器用な母が手がける印刷物は、さぞかし美しく仕上がることだろう。母は会社にとって有力な存在であるといっても過言ではない。私は祖母と母の、輝く仕事姿を誇りに思う。

さて私はどうだろう。高校受験を無事切り抜け、せわしない高校生活を送っている私。最近忙しくて、手につけていない書きかけの小説。私は、3年後にスポットライトを当ててみた。3年後、今考えている進路としては、高校卒業後、語学の専門学校に通いつつアルバイトをし、資金を貯め親戚の住むカナダの大学へ行きたいと考えている。まともに留学をするとなれば、ホストファミリーを探すことが先決だが、私の場合それをする手間が省け、恵まれた環境にある。大学進学については、日本においても同じだが、私があえて海外を目指す理由。作家という職業を志している関係上、物語を構成するストックは常にこしらえておかねばならない。そういった面で、海外に行く経験はモティベーションを上げる。

第2に、自分の人間の幅を拡げる良い機会だと考えるからである。内容が進んでいくうちに、好き嫌いの分れる英語だが、私は英語をコミュニケーシュンツールとして使いこなしたいので、勉強も苦ではない。カナダでは当然、日本語など役に立たない。留学するまでは向こうへ行っても困らない程度の英語力は身につけておいて、留学で更にそれを深めてステータスにしたいというのが理想だ。

年齢や性別の壁を越え、祖母と母は生き生きと仕事をしている。そんなふたりの血を受け継ぐ私は、今後の将来どうあるべきか。むろん、努力を惜しむことなくし続けなくてはならない。何となく将来のビジョンを据えているだけの人間は、それなりの人生を歩むことになる―仕事という生命を維持する活動になにを求めるかが問題である。

仕事とは?非常に大きなテーマだ。答えは人によって違う。時間と労働を引きかえに対価としてお金をもらうこと。国民の義務。何かをする際に、その人に割り当てられた役目。今まで挙げてきた内容すべてをひとつにまとめたものを、我々は“仕事”と呼んでいる。

一番初めに述べたように、私は仕事という単語に“生きがい”というイメージを抱いている。私の夢はスケールが大きく、叶えるには相応の努力を要する。大人に近づいていくごとにつれて、現実の姿が少しずつ見え、不安になるかもしれない。「かもしれない」と表しているほどだから、今はまだ私の中でそうした焦燥は本当の意味で生まれていないのだろう。限界を感じた者から順に負けていく。只今通っている高校の校訓も『徹』である。最後まで諦めず、全力でやり抜くといった意味だ。この先何があっても、妥協だけはしたくない。特に夢に対しては、強い思いがある。

周囲には、安定した職に就けたなら何だっていい、というような考えの人がいるが、私はどうしてもその人に同感することができない。どうせやるなら、全力で。私の密やかなモットーだ。いつか全力で打ち込める仕事に、私は就いてみせる。

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